あの通販コスメブランドの「知られざる歴史」に迫る!

あの通販コスメブランドの「知られざる歴史」に迫る!

化粧品は、私たち女性にとってはもはや切っても切り離せない存在。デパートに行けば、資生堂やカネボウ化粧品などのおなじみブランドから、シャネル、クリスチャン・ディオールといった憧れの海外ブランドまで、所狭しと商品が並んでいますよね。

そのいっぽうで「デパートはもちろん、ドラッグストアでもあまり見かけないのになぜか人気」というコスメブランドもたくさんあります。あまり見かけない、とはどういうことかというと・・・そう、私たちの大好きな「通販コスメのブランド」です。

通販コスメは華やかな印象こそありませんが、「接客にわずらわされる心配がない」「わざわざお店に行かなくていい」などなどの理由で、多くの女性たちの支持を集めています。

今回は、特に多くのリピーターに愛され続ける人気の通販コスメ5ブランドの歴史や成り立ちについて迫ってみましょう。

翻訳事業から始まって・・・今や業界№1の「DHC」

翻訳事業から始まって・・・今や業界№1の「DHC」

通販コスメの最大手といえば「DHC」。とにかく値段が手ごろですし、多くのサプリメントを手がけていますから、一度は買ったことがある人もきっと多いですよね。

DHCは、実はもともと大学の研究室を相手に洋書の翻訳事業を行う会社でした。DHCとは「大学翻訳センター (Daigaku Honyaku Center)」の略なのです。

それがどうして化粧品業務にシフトしたのか・・・会社側も今ひとつはっきりさせていないので不明な点もありますが、化粧品事業の出発点になったのはバージンオリーブオイルだといわれています。

創設者の吉田嘉明氏が翻訳の事業を手がけるなかでオリーブオイルと出会い、その美容効果に目をつけたのがきっかけだったという説が有力です。

DHCが通販事業を始めたのは1983年。「DHCバージンオリーブオイル」と「薬用ディープクレンジングオイル」が爆発的なヒットとなりました。当時は特に保湿に関してはクリーム状のコスメが主流でしたから、「スキンケアにオイルを使う」というのはとても新鮮だったのです。

それまでにない使い心地が多くの女性たちに受け入れられ、90年代には通販コスメブランドとして確固たる地位を築きます。ちなみに、出発点だった翻訳出版事業は、現在でも続けられているそうですよ。

油分を含まない化粧品作りを追及し続ける「オルビス」

油分を含まない化粧品作りを追及し続ける「オルビス」

1984年、DHCのあとを追うように設立されたのが業界シェア2位の「オルビス」。実はあの大手化粧品メーカーのポーラによって通販化粧品部門として立ち上げられました。

何といっても特徴的なのは「油分をいっさい使わない化粧品の開発」に力を入れていることでしょう。一時期は「100パーセントオイルカット」という歌い文句をかなり前面に打ち出していましたが、時代が保湿重視の流れになってきたことを受けて、現在ではそれほど大々的に掲げられているわけではないようです。

それでも日本人はもともとベタつき嫌いの民族ですから、「みずみずしい使い心地のものが欲しい」「油分が入っているのはイヤ」という女性たちの間で広く愛されています。

また、使う材料や成分にかなり厳しいという点も見逃せません。独自の品質基準を設けて、肌に極力優しく安全な製品作りを心がけています。

その製品作りのスタンスは環境への配慮にまで及んでいて、パッケージの簡素化やリフィル方式の採用などを積極的に行っています。

無添加化粧品の先駆けとして長く愛される「ファンケル」

無添加化粧品の先駆けとして長く愛される「ファンケル」

1980年、時代がバブル絶頂期へ向かい何かと派手になっていくなか、その流れと逆行するように誕生したのが「ファンケル」です。まるで化粧品とは思えない、素っ気ないパッケージが当時多くの人に衝撃を与えました。

創業したのはガス会社のサラリーマンだった池森賢二氏。化粧品とはまったく関係のない仕事をしていた池森氏は、奥さんが肌荒れに悩んでいることをきっかけに化粧品に興味を持つようになりました。

やがて化粧品に配合されている防腐剤や酸化防止剤の存在を知り、それなら刺激になる成分が入っていない化粧品を自分で作れないか・・・と考えるようになったのです。

ファンケルおなじみの「添加物を入れない状態で密封」「鮮度表示をする」「腐らないうちに使い切れるよう少量のアンプルに」というアイデアはすべて池森氏によるもの。

今でこそ何の不思議もありませんが、80年代当時には非常識極まりないスタイルでした。やっとのことで製品を作っても、「こんな地味な化粧品は売れない」と、当初はどこに行っても相手にされなかったそうですが、地道な宣伝と口コミでじわじわと評判が広まり、やがて「無添加のファンケル」として、全国レベルで認知されるようになりました。

そしてファンケルは今でも、敏感肌を中心に「本当に安全なものを使いたい」という女性たちに絶大な支持を得ています。

ちなみにファンケルとは「化学製品のなかでも付加価値の高いもの・医薬品」を意味する英語「ファイン・ケミカル」の略なのだそうです。

「山田養蜂場」のコスメの出発点は、娘のためのローヤルゼリー

「山田養蜂場」のコスメの出発点は、娘のためのローヤルゼリー

化粧品とは関係のない会社に思えるのに突然通販コスメに乗り出したように思える会社もいくつかあります。なかでもよく名前を耳にするのが「山田養蜂場」ではないでしょうか。

山田養蜂場は今でこそハチミツや化粧品、サプリから歯みがき粉までいろいろ扱っていますが、その出発点はいうまでもなく養蜂業です。

創業したのは先代の社長でもある山田政雄氏で、当初はハチミツだけを扱っていました。ところが心臓に先天的な障害をもつ娘さんが生まれたことをきっかけに、「身体にいい」とされているローヤルゼリーの研究を始めるようになります。

残念ながら娘さんはその後亡くなってしまいますが、ローヤルゼリーは商品として生き続け、やがて商品化されて全国へと販売されるようになりました。

すると、ローヤルゼリーを飲んだ顧客たちから、「ローヤルゼリーの飲料だけでなく化粧品はないのか」という問い合わせが殺到するようになったのです。

その声に応えるべく、1998年に誕生したのが「RJスキンケアシリーズ」。「RJ」は、「Royal Jelly(ローヤルゼリー)」の頭文字なのです。

大手の会社だからこそ生まれたサントリーの「エファージュ」

大手の会社だからこそ生まれたサントリーの「エファージュ」

通販コスメのブランドはどれも出発点が大きくないのが特徴ですが、2000年に入ってから、異業種、かつ大手の会社が通販コスメを売り出すケースが増えています。

そのひとつがサントリー。2010年、「F.A.G.E(エファージュ)」というブランドを立ち上げて、本格的に業界参入しました。

背景にあるのは国内の飲料市場が小さくなっているという事情があるようです。と同時に、昨今女性たちのあいだでエイジングケアの意識が高まっているのを受けて、「長く利益が見込める化粧品業界に参入してはどうか」という流れになったのでしょう。

異業種の会社が化粧品を作る場合、「売りにする美容成分をどうするか」が問題になりますが、サントリーが目をつけたのは酵母でした。

サントリーはお酒を扱う会社ですから、もともと独自の研究所をもっていて、ウイスキーやビール造りに必要な酵母の研究を長年行っていたのです。時間をかけて、自社にある膨大な酵母のなかから美容に効果がある酵母を特定し、やがて実用化するまでに至りました。

エファージュのシリーズには、サントリーが苦労の末に見つけだした酵母「ラビスTM」から抽出したエキスが、全品に配合されています。

ちょっと変わったブランド名の由来は「F is Attractive Graceful Energy(酵母のちからは、魅力的で優美な美しさのちから)」という文の頭文字を並べたもの。冒頭の「F」には「Fermentum(酵母)」「Feminine(女性)」「Future(未来)」「Fantastic(すばらしい))」など、さまざま意味を込めているのだそうです。

<まとめ>派手ではないけれどわかりやすくて堅実なのが魅力

通販コスメのブランドは、どれも出発点が少し変わっていますよね。多くの会社に共通しているのは、「会社ありき」で化粧品を作ったのではない、という点でしょう。

オルビスなら「油分を含まない化粧品を作りたい」、ファンケルなら「肌に優しい無添加の化粧品を作りたい」といったように、まずは「作り手の願い」ともいえるわかりやすいコンセプトがあって、それが原点となって化粧品を作るようになり、現在の姿になった・・・という点で、どこの会社の成り立ちがとても似通っています。

決して目立つ存在ではありませんが、設立当初から変わらない通販コスメブランドの堅実な姿勢は、私たち女性にとってはこのうえなく頼もしいもの。これからも多くの通販コスメたちが、私たちの肌を救い、そして楽しませてくれることでしょう。

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