界面活性剤と石鹸は違うの?界面活性剤の作用と選び方

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化粧品には様々な有効成分と共に、添加物が含まれています。界面活性剤もその一つ。

界面活性剤は洗顔料やクレンジングなどの洗顔類に含まれているイメージがありますが実は基礎化粧品やファンデーション、口紅やリンスなどあらゆる化粧品に使われているんです。

化粧品メーカーはどうしてこんなにもイメージの悪い界面活性剤を化粧品に入れるのでしょうか?また、合成界面活性剤とよく比べられる石鹸。石鹸と界面活性剤は何が違うのでしょうか。

今回は界面活性剤の役割と種類をご紹介します。

界面活性剤の5つの作用

洗濯用洗剤やシャンプーなどに界面活性剤を入れると泡立ちが良くなることは知られていますが、それ以外でも様々な作用があります。界面活性剤は植物や私達人の体の中にも存在している物で、その数およそ2000種類もあるといわれています。

一口に界面活性剤と言っても種類によって様々な種類があり、特性も様々です。まずは界面活性剤の働きをご紹介します。

乳化作用

乳化とは、水と油のような通常混ざり合わない2つの液体が混ざり合っている状態の事を言います。界面活性剤を使わずに水の中に油を入れてよくかき混ぜると、水中に油の分子が分散して、一見混ざり合っているかのように見えます。

しかしこれは、油が小さい粒となり分散しているだけで、時間が経つとまた2つの液体に分かれてしまいます。

水と油を長期間安定して混ざり合った状態にするために界面活性剤は使われています。化粧水や乳液には(水分)水溶性の液体と(油分)脂溶性の液体が入っていて、それを混ぜあわせるために乳化剤として、界面活性剤が使われています。

化粧水は一見水分だけのように見えますがこの中にも脂溶性の成分が入っています。なぜなら肌の角質間にある天然の保湿成分は脂溶性だからです。肌を保湿する為には水分と油分の両方が必要なのです。

もしも水と油が分離している状態の乳液だったら使う時大変ですね。クリーム状の乳液は、化粧水のようにシェイクして混ぜることも困難です。

その結果、「今朝は乳液の脂分ばかりを塗ってしまってファンデがよれてしまった」「今夜は水分ばかり塗ってしまって保湿が足りなかった」など、一定して同じ効果を得ることが困難になってしまいます。

毎回同じ効果を得るためには化粧品中の成分は常に均一に混ざり合っている必要があり、そのためには乳化剤が不可欠なのです。

分散作用

水の中に種類の違う粉を入れると混ざり合わずに水中に浮かんでしまったり、下に沈んでしまったりします。それぞれの粉の粒の大きさや比重が異なる為、均一に混ぜ合わせることは難しいのです。しかし界面活性剤を入れると、均等に粉が分散します。

この作用を利用してリキッドファンデーションやアイメイクなどは、液体の中に何種類かの比重の異なる粉を分散させて微妙な色を作り出しています。

殺菌作用

界面活性剤は大きく分けて4つに分類されますが、その中でも陽イオン性と呼ばれる界面活性剤は殺菌作用に優れています。

広く知られているのは塩化ベンザルコニウムです。病院などの医療機関で消毒薬として広く用いられています。それ以外にも化粧品に少量入れて菌の繁殖を抑えています。

湿潤作用

界面活性剤と石鹸は違うの?界面活性剤の作用と選び方の湿潤作用について説明している章のイメージ画像。布から弾かれているようにみえる水滴。

わかりやすくいうと濡れやすくする作用です。例えば、油汚れの酷い布の上に水を垂らしても、水は布に浸透せず、布の上に水滴の玉となって丸くなります。

しかしそこに界面活性剤を加えると水滴の玉は崩れてべたっと布に張り付いたようになって浸み込んでいきます。これによって次の洗浄作用がしやすくなるのです。

洗浄作用

湿潤作用によって水は布に浸透しました。界面活性剤は布に付着している油分と、布の周りに吸着して油(汚れ)を布から剥がします。そして一度落した汚れが再付着しないように、汚れの表面に付着し水中に浮かびます。

この湿潤、洗浄の作用はクレンジング剤だけでなく、洗濯用洗剤や食器洗い用の洗剤など、広く活用されています。このように界面活性剤は様々な作用があります。界面活性剤と名がつくものがこれらの作用全てを備えているわけではありません。

例えば、化粧水の乳化剤としてはポリエチレングリコール(PEG)のような乳化作用の優れているもの、クレンジングにはコカミドプロピルベタインのような洗浄力の高いものと、それぞれの化粧品で使い分けられているのです。

これら界面活性剤の多くは化学的に合成された合成界面活性剤ですが、これとは別に天然の界面活性剤も存在します。天然の界面活性剤の中でもショ糖、脂肪酸、レシチンやグリセリンなどは食品に添加されて、主に乳化剤として使われています。

また、石鹸は合成界面活性剤とよく比較されますが、石鹸も界面活性剤ですね。合成の界面活性剤と一体何が違うのでしょうか?

界面活性剤、石鹸の作用

せっけんは動物や植物の油を脂肪酸ナトリウムや脂肪酸カリウムなどのアルカリで煮て作ります。よく、固形のものは石鹸で液体のものは界面活性剤だと思っている人もいますが、固形、液体の形状は関係ありません。石鹸で液体のものもあります。

石鹸も界面活性剤であると書かれているサイトをよく目にします。確かに石鹸も界面活性剤ではありますが、石鹸は他の界面活性剤と大きく異なるところがあります。

それは、水を加えると界面活性剤としての作用を失うということです。(一次分解と言います)石鹸はこの作用を失うまでの時間がとても速いのです。

洗顔して汚れが落ちたと思ったらすぐに水で流す。そうすれば必要以上に皮脂を奪うことはありません。石鹸が洗浄力を発揮するにはある一定の濃度が必要なんです。

その濃度以下になると、洗浄力を失います。また石鹸は自然分解されやすく、毒性もありません。そのため環境に優しいといわれています。

石鹸の生分解性

生分解性とは微生物によって物質が分解されて、最後には二酸化炭素や水のような無機物になることです。分解には一次分解と究極分解があります。一次分解は界面活性剤としての働きを失う事です。石鹸の場合は水で薄めるとすぐに一次分解します。

合成界面活性剤の一次分解は種類によって様々ですが、石鹸よりも時間がかかります。長いもので10日もかかってしまうのです。(LAS/aアルキルベンゼンスルホン酸塩)その間、肌に残った合成界面活性剤は肌を刺激し続けたり、環境を汚染するのです。

さらに石鹸は水や二酸化炭素などの無機物となる、究極分解も他の界面活性剤に比べて早いです。合成界面活性剤と石鹸を比べると、石鹸の生分解性はとても速く、このため環境に優しいといわれています。

石鹸で洗うと肌がつっぱる訳

通常、人の肌は皮脂などにより弱酸性に保たれていますが、アルカリ性の石鹸で洗顔すると肌はアルカリ性に傾きます。石鹸で洗ったあとは肌がつっぱりますよね。それは肌がアルカリ性になっているからです。その為、最近ではつっぱらない、弱酸性の洗顔料もありますね。

洗顔後すぐはアルカリ性に傾きますが皮脂が分泌されるに従って弱酸性へと戻ります。アルカリ性に傾くのは一時的な事なので、あまり気にする必要はないでしょう。

また、アルカリ性の石鹸は酸性の洗顔料よりも洗浄力が強力ですが、弱酸性の肌の上に乗せるとその効果は中和されて洗浄力はマイルドになります。

さらにこの中和反応は角質を剥がれやすくする効果もあります。古い角質を取り除くには弱酸性の洗顔料よりアルカリ性の石鹸の方が良いでしょう。

髪の毛も石鹸の方が良い?

界面活性剤と石鹸は違うの?界面活性剤の作用と選び方の石鹸で洗髪するとどうなる?のイメージ画像。女性が洗髪しているイメージ画像

普段からナチュラル化粧品をつかい、化学的な成分を避けている人の中には、シャンプーも石鹸素材を使う人がいますね。しかし、石鹸を髪の毛に使う際は、注意しないと髪を傷めてしまう可能性があります。なぜなら、髪の毛は肌と異なり皮脂を分泌しないからです。

髪の毛をアルカリ性の石鹸で洗うと髪がきしみます。これは髪の毛のキューティクルが開いて、そこに石鹸カスが付着しているからです。肌なら皮脂が分泌して弱酸性に戻りますが、髪の毛の場合は弱酸性のリンスをつけて中和する必要があります。

また、洗浄中も髪を擦ったりすると、キューティクルが開いている状態ですので髪が傷んでしまいます。石鹸で髪を洗いすぎると逆に頭皮が乾燥してフケや痒みの原因になることがあります。アミノ酸系シャンプーは適度な洗浄力があり、石鹸カスの少ないのでお勧めです。

アミノ酸系シャンプーにはココイルグルタミン酸・ラウロイルメチルアラニンNa・アシルグルタミン酸・ラウロイルメチルアラニンNa、などが使われています。アミノ酸系シャンプーは生分解性も早く、肌に残りにくいので低刺激と言えるでしょう。

アミノ酸は天然物質にも多く含まれている成分なので、安心して使えますね。石鹸シャンプーや石油系のシャンプー(ラウリル硫酸Naやスルホン酸Naなど)は洗浄力が強すぎますので、髪を洗う場合はアミノ酸系を選びましょう。

合成界面活性剤の中にも刺激の少ないものもあります。使う人の肌質、体質によっては石鹸よりもあっている場合もありますので合成界面活性剤全てを否定するのはやめましょう。

オーガニック認証機関でも認められている界面活性剤

界面活性剤と石鹸は違うの?界面活性剤の作用と選び方の美容情報より、エコサートの印がついたオレンジの画像。

2010年5月、コスモスという新しいオーガニック認証機関が設立されました。これは現在すでに欧州にあるBDIH,COSMEBIO(コスメビオ),ECOCERT(エコサート),ICEAの5つのオーガニック団体を統一して、世界基準ともいえる新しいオーガニックコスメの基準を決めようというものです。

この認定基準に石油系合成成分が一部使用可となったそうなんです。オーガニックコスメの認定を受けたコスメに石油系成分が使用されているなんてすこしがっかりですね。しかし植物から抽出した防腐剤に限定すると価格が非常に高くなり、適切な価格での販売が難しくなるそうです。

できるだけ界面活性剤に頼らない生活を送りたいものですが、全てを排除した生活はもはや不可能なのかもしれません。界面活性剤の働き、作用は多岐にわたり私たちの身の周りは界面活性剤であふれています。事実、そのお蔭で便利に生活できているのです。

界面活性剤も日々研究され、より人や環境に考慮したものが出来ています。昔は刺激が強く、トラブルを起こした界面活性剤ですが、最近では刺激の低いものや、環境に優しいものも増えてきました。

その中からできるだけ刺激の少ないもの、生分解性の早い、環境に優しい界面活性剤を使ったものを選びましょう。

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