敏感肌や乾燥肌の原因になる!?化粧品中の“アルコール”の役割とは

敏感肌や乾燥肌の原因になる!?化粧品中の“アルコール”の役割とは⇒記事内に添付する画像。化粧水、美容液、クリームなどが撮影されています。

化粧品に入っているアルコール。敏感肌の人が使うと良くないといわれていて、アルコールフリーを謳った化粧品も沢山見かけます。

しかし、一口にアルコールと言っても、エタノールやフェノキシエタノール、 イソステアリルアルコールなど“アルコール”とつくものは沢山ありますが、これらはいったい何が違うのでしょうか?

そこで今回は化粧品の中に入っている“アルコール”についてご紹介します。

アルコールは1種類じゃない?化粧品中のアルコール類

化粧品の裏側やパッケージに記載されている全成分表示を見るとベへニルアルコールやステアリルアルコールなどアルコールとつく成分があります。

中にはフェノキシエタノールが含まれているのにアルコールフリーなんて謳われていてワケがわからない!なんて人もいるのではないでしょうか?まずはこれらの○○アルコール類の役割をご紹介します。

化粧品中に使われる“○○アルコール”の役割

■ベへニルアルコールはナタネ油から抽出したアルコールで、乳化剤として使用されています。皮膚や髪を滑らかにする作用があり、特に乳液やクリーム、リンスに使用されています。皮膚に対して安全性が高く、無添加化粧品や低刺激の化粧品などにも使われています。

■イソステアリルアルコールやセタノールは高級アルコールの部類で、液状の油分です。乳化剤として乳液やクリームなどに配合されていたり、粘度をあげたりする役割があります。また、保湿効果も期待できます。

■フェノキシエタノールは玉露の揮発性分で、最近ではパラベンに代わり、防腐剤として多くの化粧品に使用されている合成保存料です。自然界に存在するので安全なイメージですが、蒸発する時に喉に悪影響を及ぼします。その為配合量は全体の1%と決まってる程です。 喘息の方や呼吸器系に問題のある人は避けた方が良いでしょう。

これら“アルコール”は分子構造に水素基(OH)が付くだけで、消毒などに使われるアルコールとは別の成分になります。いわゆるアルコールフリーと記載されている化粧品の指すアルコールとは、エタノール(エチルアルコール)の事を言います。

エタノールを配合するメリット

化粧品の中に入っているアルコールと言えばほとんどの場合がエタノールの事です。エタノールは成分の名称で、正式にはエチルアルコールと言います。透明の揮発性の高い液体で、怪我をしたり、注射をする前に使う消毒液といえばわかりやすいでしょうか? 

エチルアルコールの効果

・殺菌作用…化粧品中の菌の繁殖を防ぐ為に配合されています。

・洗浄効果…拭きとり化粧水などに含まれていて、肌の表面にある汚れや皮脂を取り、清潔に保ちます。

・収れん作用…肌をひきしめて毛穴を目立たなくさせる作用があります。

・使い心地が良い…アルコールを含んだ化粧品は蒸発する時に熱を奪いますので肌がスーッとしてスッキリします。

・可溶化(乳化剤)…エタノールを使うと水と油分など、本来なら混ざらない成分が混ざりやすくなります。この可溶化の効果は広く活用されていて、アルコール飲料にもエチルアルコール入りのものがあります。

    

エタノールは殺菌効果だけでなく、使い心地を良くしたり、成分同士を混ざりやすくして安定した品質を保持できる役割も果たしています。一つの素材でこれだけの効果があるなんて効率的で優秀な素材だと思いませんか?

しかし、こんなにメリットのあるエタノールですが、敏感肌の人や乾燥肌の人が使うと、これらのメリットがデメリットになってしまう恐れがあるんです。

乾燥肌の人にはお勧めできないエタノール高配合の化粧品

乾燥肌の人にはお勧めできないエタノール高配合の化粧品のその理由を写真つきで解説。

エタノールと、先ほどご紹介したようなアルコール類との1番の違いは揮発性ではないでしょうか?エタノールは揮発性が高く肌につけるとすぐに蒸発します。 お風呂場あがりなどはエタノール入りの化粧水は付けたあとスッとして気持ちが良いですよね。

スーッとした清涼感があるのは、蒸発の時に肌の熱と水分を一緒に奪っているからです。水分が十分に足りている時はさほど気にならないかもしれませんが、実はこの水分蒸発によって乾燥肌になってしまう恐れがあるんです。そのためもともと乾燥肌の人にはあまりお勧めできません。

普通肌の人でも毎日使うのは控えた方が良いでしょう。今乾燥肌でない人でも、毎日朝晩と使い続けていくうちに少しづつ水分が失われ、いつの間にか乾燥肌になってしまった、ということもありえます。保湿したいから化粧水をつけているのにこれでは全く逆効果ですね。

インナードライの原因となる可能性も

通常、肌の表面は薄い脂の膜がはっていて(皮脂膜)、水分の蒸発を防いだり、外からの刺激を防ぐという役割を果たしています。エタノールは脂を溶かす作用があるので、ふき取り化粧水にエタノールが入っていると必要以上に皮脂膜を溶かしてしまいます。

表面の皮脂はバリヤ機能の役割を果たしているので、不足すると肌は更に多くの皮脂を出して肌のバリヤ機能を回復させようとします。その結果、肌の内側は乾燥しているのに表面だけ皮脂が必要以上に分泌してしまう、インナードライの状態になってしまうのです。

自分は脂性肌だと思いこんでエタノール入りの化粧水を使っている人も、実はインナードライの可能性があります。いつまでたっても脂性肌が改善されない場合は保湿ケアに切り替えてみると改善されるかもしれません。

高配合のエタノールは善玉菌も殺菌してしまう恐れが

更に、エタノールの殺菌効果によって、肌の表面にいる善玉菌である、表皮ブドウ球菌も殺してしまう可能性があります。表皮ブドウ球菌は通常、肌表面の皮脂を食べて保湿成分であるグリセリンを排出し、肌を弱酸性に保つ働きがあります。

しかしエタノールによって表皮ブドウ球菌が殺菌されてしまうと、肌は弱酸性を保てなくなりアルカリ性へと傾きます。エタノールによって表皮ブドウ球菌が殺菌されてしまうと、以下のような悪循環が生まれます。

1:肌がアルカリ性へと傾く

2:アルカリ性の肌は表皮ブドウ球菌が住みにくい

3:表皮ブドウ球菌が減少

4:保湿成分であるグリセリンが減少

5:肌が乾燥する

メリットの多いエタノールですが、その量が高配合であったり、肌に合わない人が使うと肌トラブルのもとになってしまう事もあります。

特に敏感肌の人や、お酒が体質に合わない人はエタノールと相性が悪い可能性が高いです。また、長期間高配合の化粧品を使ったために乾燥肌になってしまう場合もあります。

新しく化粧品を購入する時は成分表をチェックしましょう。 成分表は配合率の高い順に記載されています。 エタノールが最初の方に記載されているものはデイリー使いにはお勧めできません。夏などの特に肌がべとつくときや、毛穴が目立つときなど、限定して使いましょう。

キャリーオーバーに隠されたエタノール

敏感肌や乾燥肌の原因になる!?化粧品中の“アルコール”の役割とはのキャリーオーバーに隠れてしまっているアルコールの危険性イメージ画像。

先ほど成分表をチェックしましょうと言いましたが、中にはエタノールフリーを謳う化粧品の中にもキャリーオーバーによってエタノールが入っている場合があります。キャリーオーバーとは、英語で、「持ち越し」、「残っているもの」と言う意味です。

化粧品でのキャリーオーバーとは、原料に使われている農薬や、エキスを抽出する際に使われた薬品が残留してしまう事を指します。

例えば、ローズエキスを抽出する際には材料となる薔薇が必要ですね。原料となる薔薇を栽培する時、通常農薬や化学的肥料などが使われています。それらが抽出したエキスにも残留していたり、エキスを抽出する際に薬品を使いますが、その薬品が一緒に混入してしまうケースがあります。

キャリーオーバーの成分の中には防腐剤や酸化剤とともにアルコールもあります。つまり、アルコールフリーを謳っている化粧品の中にもエタノールが含まれている可能性があるのです。

アルコールにアレルギーを持つ人はアルコールフリーの化粧品を買ったのに肌が被れてしまったなんてケースも出てきますから注意が必要です。とはいえ、キャリーオーバーは化粧品の表示義務はありませんので、見抜くのは殆ど不可能です。

では、どうすればいいのでしょうか?私たち個人は化粧品メーカーの広告やパッケージから判断することしかできません。実際には自分の肌で合うか合わないか試してみるしか方法はないのです。これはアレルギーのある方にとってとても悩ましい問題です。

それでもエタノールの入りの化粧品を選びたくない人は化粧品の成分表から予測して選ぶしかないでしょう。その一つの予測材料として植物エキスが含まれているかどうかがあります。

植物エキスが含まれているかどうか

オーガニック認証をしている中には、植物エキスを抽出する際のキャリーオーバーも成分も明記するよう求めるコスメビオみたいな認証機関も存在します。

植物エキスなどを抽出する際には、通常植物を1週間程度溶液に漬け込み、濾したものを抽出液として使用します。この時使われる溶剤はBC(ブチレングリコール)などの化学溶剤か、エタノールが使用されます。100%ではありませんがエタノールが入っている可能性も否定できません。

これらは量としてはごくわずかですので、普通肌の人はあまり神経質になる必要はないでしょう。植物エキスなどには栄養素が詰まっていてお肌の悩みを抱えている方にとっては魅力的な成分です。普通肌の人がここまで化粧品を限定してしまってはもったいないですね。しかしアレルギーを持っている方は知っておいた方が良いでしょう。

また、フランスにあるオーガニックの有機認定機関COSMEBIO(コスメビオ)では認証基準の中に「キャリーオーバーの成分も表示するように」との規定があります。コスメビオの認定を受けている化粧品の中からアルコールフリーの化粧品を選ぶのも一つの方法です。

エタノール入りの化粧品はその人の肌の状態で良くも悪くもなります。毛穴を目立たなくする吸れん作用など、メリットもあります。自分の肌を良く研究して適切な時に使ってくださいね。

エコサート取得ブランド
AVEDA/Nuxe/Kiehl’s/Melvita/BENESEED/Phyt’s/KOTOSHINA/ドゥーオーガニック 他
※Kotoshinaとドゥーオーガニックは日本のブランドです。

年代別おすすめ基礎化粧品