プラセンタの美肌効果について女性医師が徹底解説! Part3:美容・健康知識編
プラセンタについて4篇に分けて解説していくこのシリーズもPart3になりました。ここからはさらに具体的な内容について触れていきます。
皆様が最も気になるであろうプラセンタの美肌効果(お悩み別)や、アトピー肌に対して期待される効果について詳しく説明します。
また、プラセンタが女性ならではの更年期障がいの治療にどのように役立つのかもご紹介していきますよ。
次回、プラセンタシリーズ最終回の第4弾は、実際にどのようにプラセンタを健康や美容に役立てていくかという応用編になりますので、そちらもお楽しみに♪
プラセンタの美肌効果
美容や健康に良い、特に美肌に効き目があるといわれるプラセンタですが、実際どのような仕組みで美肌効果を発揮するのでしょうか?
それは、プラセンタの持つ様々な作用が段階的かつ複合的に機能することによって生まれるのです。
プラセンタに含まれる成長因子により細胞が活性化され、血行も促進されて新陳代謝が上がり、お肌のターンオーバーが促されます。
その結果、シミやそばかすの原因となるメラニンが沈着することなくお肌の表面から排出され、美白効果が実感できるのです。
美白有効成分:シミ、肝斑、くすみでお悩みの方へ
プラセンタエキスは厚生労働省により認可された美白有効成分であり、「薬用美白化粧品」に配合されることも多いです。
合成された美白成分とは異なり、美白をするだけでなく、お肌を正常化する作用もありますので、その人が本来持っているお肌の色に近づけるという働きが、プラセンタの美白効果の特徴ですね。
プラセンタの美白作用は次の3つの働きで成り立っています。
- メラニン色素の産生に関与する酵素チロシナーゼの働きを抑制→メラニン色素の発生を防止。この作用には、活性酸素除去作用や抗炎症作用も関与しています。
- 活性酸素除去作用が、メラニン色素により皮膚が黒くなることを防ぎます
- 新陳代謝促進作用、ホルモンバランス調整作用→お肌のターンオーバーを活性化→メラニン色素の排泄を促進→メラニン色素がシミやくすみとなってお肌に定着することを防止。
この3つの作用が複合的に働いて美白を促すのです。
細胞活性化作用・保湿作用:シワ、たるみ、毛穴でお悩みの方へ
プラセンタに含まれる成長因子の中には、真皮層に存在する線維芽細胞や角化細胞を活性化させる働きを持つ線維芽細胞増殖因子(FGF)があります。
FGFやその他の栄養素は、コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチンなどお肌のハリを維持する成分の生成を促進します。
また、プラセンタによって、コラーゲンを分解する酵素の産生が抑制されることも判明しています。
これらの作用により、真皮にハリと弾力を与え、シワやたるみの改善・解消につながる効果が生まれるというわけなのです。
さらにプラセンタは、お肌のうるおいを維持するのに不可欠なNMF (天然保湿因子)の主成分であるアミノ酸を豊富に含んでいるため、NMFの生成を促進して保湿力を高めるともいわれています。
これらコラーゲン生成の促進、お肌の新陳代謝、保湿作用によって、お肌のキメが細かくなり、たるみによる毛穴の開きを縮小させる効果があるといわれています。
抗炎症作用:ニキビ、日焼け、肝斑でお悩みの方へ
プラセンタの抗炎症作用、新陳代謝促進作用は、日焼けの影響で炎症を起こしたお肌を鎮静化したり、赤ニキビによる炎症を抑えたりするのに役立ちます。
それに女性ホルモンのバランス調整作用が加わることによって、女性ホルモンや摩擦・紫外線などの刺激に影響される肝斑の症状を緩和することも可能です。
もちろん、紫外線による日焼けや乾燥は全ての肌ダメージの原因となりますので、紫外線対策はしっかりと行ってくださいね。
私のコラム内に紫外線対策についての記事もありますのでご参照ください。
血行促進作用:クマ、くすみ、目元のシワでお悩みの方へ
プラセンタには血行促進作用があり、血行が良くなるとお肌に必要な栄養や酸素がスムーズに届けられるので、安定した肌状態がつくり出されます。
また老廃物の排出も滞らないため、肌トラブルの予防につながると考えられています。
クマやくすみ、目元の小ジワの原因のひとつは血行不良と考えられていますので、これらの症状の改善効果も期待できます。
新陳代謝促進作用:アンチエイジング、美白などをご希望の方へ
プラセンタに含まれる成長因子が新陳代謝を促進させ、お肌の正常なターンオーバーを促すことで、常に新しい細胞がお肌の表面に存在することになります。
ターンオーバーが正常に行われていれば、過剰なメラニン色素を排出することが可能ですので、美白効果にもつながります。
活性酸素除去作用:アンチエイジングやシミ、シワなどでお悩みの方へ
「活性酸素」は、紫外線などの外部刺激だけでなく、呼吸により吸収した酸素からも産生されます。
活性酸素はお肌のハリを維持するコラーゲンを破壊してシワの原因になったり、シミを作るメラニン色素を増加させるなど様々な老化現象を引き起こすのです。
プラセンタに含まれるビタミンC、ビタミンE、ミネラル、ペプチドには抗酸化作用があり、お肌を老化させる活性酸素を除去するので、アンチエイジング効果が期待できます。
さらにプラセンタには、お肌表面の細胞を破壊して老化を進行させる「過酸化脂質」を減少させるビタミンBも含まれているため、エイジングケアに効果的と考えられているのです。
更年期障がいに対する効果
女性なら、遅かれ早かれ誰もが迎える更年期。更年期障がいにもプラセンタが有効なので、ご紹介しますね。
更年期障がいの原因
「更年期」とは、閉経の前後10年ほどの期間をいいます。日本人の場合、平均の閉経年齢が50歳なので、およそ45〜55歳が更年期とよばれる時期にあたります。
最近では30代の女性にも更年期のような症状が認められ、「若年性更年期障がい」という言葉があるほどです。
生活習慣やストレスによる女性ホルモンのバランスの乱れが、いかに女性にとって大きな影響を及ぼすのかがよくわかりますね。
更年期に様々な症状が引き起こされる原因として、加齢に伴い卵巣の機能が低下すると、女性ホルモンのひとつであるエストロゲンの分泌が急激に減少することが挙げられます。
通常、女性ホルモン(卵胞ホルモン=エストロゲン、黄体ホルモン=プロゲステロン)は、脳の視床下部を司令塔とした、分泌をコントロールするシステムによって調整されています。
さらに詳しくご説明しますね。 脳の視床下部が血中のホルモン量をチェックしていて、女性ホルモンの量が低下すると、性腺刺激ホルモン放出ホルモンを分泌して脳下垂体を刺激します。
すると、脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されて、卵巣に女性ホルモンを分泌するよう働きかけるという仕組みになっているのです。
しかし更年期の卵巣は機能が低下しているため、脳下垂体から性腺刺激ホルモンが分泌されても、それに応えて十分な量の女性ホルモンを分泌することができない状態なのです。
視床下部は、女性ホルモンだけでなくその他多くのホルモン分泌を司る働きを担っているため、更年期の女性ホルモン分泌低下により、視床下部が影響を受けてしまいます。
結果として、体内のホルモンバランスが乱れ、ひいては自律神経の調節機能が乱れてしまい、心身に様々な症状が現れる、という悪循環が生まれてしまうわけなのですね。
更年期障がいの症状
症状の出現時期や重さには個人差があります。ほとんど自覚症状のないまま過ごされる方もいらっしゃれば、日常生活や仕事に支障をきたすほど症状が重い方もいらっしゃいます。
日々の生活が正常に送れないほど更年期の症状が大きい場合に「更年期障がい」とよばれます。
初期には月経異常、のぼせやホットフラッシュ(突然の身体のほてり、顔や首からの大量の発汗)、血圧の変動や手足の冷えなどの自律神経失調症、頭痛・不眠などの睡眠障害・イライラ感・不安感・記憶力や集中力の低下、疲労感や倦怠感、抑うつ、食欲の低下、お腹の張りといった精神神経症状が認められます。
不定愁訴とよばれる精神的な不調がみられやすいことも更年期症状の特徴のひとつです。
更年期の中期から後期にかけては、筋肉や骨の衰えによる肩こりや腰痛、関節痛、子宮脱、膣や膀胱の衰えによる尿漏れ、頻尿、細菌性膣炎が起こりやすくなります。
さらに更年期によるエストロゲンの分泌低下は、お肌にも影響しシミやシワが増え、透明感が低下してくすみが目立つようになってきます。
他にも高血圧や高血糖、高脂血症、肥満といった生活習慣病のリスクも高くなります。
症状の重さに個人差があるように、出現の時期や症状の継続期間も人によって違いがあります。短い方で数ヶ月、長い方だと更年期の間は症状がずっと続いてしまうこともあります。
一般的には3年ほどが平均的な期間とされています。症状が治まれば終わりというわけではなく、また再発する可能性もあるので注意していただきたいところです。
従来の更年期症状の改善法
ホルモン補充療法
更年期の症状は、エストロゲンの分泌低下により起こるので、減ってしまったものを補うという方法です。
基本的にはエストロゲンとプロゲステロンを併用し、個人の体質に合わせて内服、注射、貼り薬から選択して使用します。
広く行われている治療法ですが、ホルモンへの感受性に個人差があるため、効果が一定でないことが多く、補充する女性ホルモンの量を微調整する必要があります。
また副作用が大きな問題となっており、乳がん発生のリスクを高めるともいわれています。
元々子宮体がんや乳がんのある方、子宮筋腫や子宮内膜症、乳腺症、血栓症、高血圧のある方や心臓・肝臓・腎臓の機能低下や疾患がある方は使用を控えるべきとされており、使用方法や適応に制限がある治療法でもあります。
薬剤による対症療法
自律神経失調の症状や不定愁訴を軽減する目的で、精神安定剤や抗うつ薬、睡眠薬などが治療に使用されることもあります。
ひとつの症状に対しては効果的かもしれませんが、根本的な改善とはいえず、薬剤による副作用が起こる可能性も否定できません。
プラセンタによる更年期症状の改善
プラセンタに含まれる成長因子やアミノ酸・ペプチド・抗酸化物質などの栄養素の作用により、更年期症状の改善が期待できます。
大きく分けて2つの作用により、プラセンタは更年期症状の緩和に効果を発揮すると考えられています。
・女性ホルモンのバランスを安定させる作用
・自律神経のバランスを調整し、精神状態を安定させる作用
プラセンタを摂取することで、更年期症状を引き起こす原因である女性ホルモンの分泌を自然な形で促進することができます。
女性ホルモンの分泌が増えれば乱れたホルモンバランスが整えられ、その結果、崩れていた自律神経のバランスも整えられることによって、更年期症状の緩和が期待できるというわけです。
プラセンタには、不調な部分に働きかけて正常化を促す作用がある他、抗ストレス作用もあるため、うつ状態などを緩和して、精神状態を落ち着かせることも不可能ではありません。
また、プラセンタには細胞を活性化させたり、血行を促進させたりする作用もあるため、機能の衰えた臓器や細胞を修復や、血行不良による手足の冷えや頭痛、肩こり、腰痛などにも効果的といわれています。
更年期に摂取するプラセンタは注射?サプリメント? プラセンタの摂取方法について、詳しくは次回のPart4でご紹介しますので、今回は軽く触れる程度で。
プラセンタ注射はヒト由来の胎盤を使用しており、更年期症状に対して約 70%の方が効果を実感するといわれ、即効性のある効率的な方法です。
しかし、病院やクリニックに通わないと受けることができず、少なくとも1回2000円ほどの注射を週1〜2回、数ヶ月にわたって続ける必要があります。 (ただし、保険適応があれば自己負担額はもっと安くなります!)
毎回針を刺されることやその後献血ができなくなることに抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんよね。
プラセンタ注射は効果的な治療法ですが、経済的、体力的な面から、長期にわたる継続が難しいというデメリットがあります。
一方、サプリメントによるプラセンタ摂取では、注射のデメリットをカバーすることができます。
サプリメントは豚や馬など動物由来のプラセンタを原料としていますが、高品質のものであれば注射と同程度の効果が期待できます。
通院の手間もかからず、ネットなどで手軽に入手でき、コストの面でも注射より安く抑えられることも多いため、継続的な摂取が可能です。
針の痛みや献血できないといった制限もないので、注射よりも気軽に始められる点も魅力ですね。
更年期症状に対してのプラセンタの有効性は、医療の分野でも認められているものですから、思い当たる症状があれば、まずはサプリメントから試してみるのも良いのではないでしょうか?
更年期症状を緩和する自然療法
これまでに行われてきた更年期障がいに対する治療法が見直されつつあり、プラセンタによる更年期症状の緩和が注目されています。
同時に薬剤に頼る治療法ではなく、食事療法や漢方薬の使用が推奨される流れになっています。
皆様ご存知の通り、納豆や豆乳、豆腐に含まれる大豆イソフラボンが女性ホルモンと似た働きをすることから、大豆製品を多く摂取することは更年期症状の軽減に効果的といわれています。
また、ホルモンバランスを正常に保つために、ビタミンやミネラル、酵素を含む野菜や果物を積極的に食べるようにしてくださいね。
食事療法では補いきれない部分も多いため、やはりプラセンタの摂取は欠かせないポイントになるかと思います。
プラセンタには副作用がなく、新陳代謝の促進作用によるアンチエイジング効果が期待できることから、更年期症状にお悩みの方だけでなく、若年性更年期(プレ更年期)の方、さらにはお若くてもきたるべき更年期に備えておきたい方にもおすすめです。
アトピー性皮膚炎に対するプラセンタの効果
アトピー性皮膚炎は、いわゆるアトピー体質の方に起こりやすい遺伝的要因に環境要因が加わって起こるアレルギー疾患の一種です。
アレルギー反応を引き起こすIgE抗体というものをつくりやすく、お肌のバリア機能が低下しているため、外部刺激を受けやすいのが特徴です。
お肌のバリア機能の低下により水分保持が難しく、乾燥肌・敏感肌になりやすい傾向があります。
アトピー性皮膚炎は原因や症状が多様なため、全てにプラセンタが有効かどうか定かではありません。
プラセンタが効果的なアトピー性皮膚炎もありますが、なぜ効果があるのかという作用機序ははっきりと判明していないのが現状なのです。
仮説として、通常より多くのIgE抗体がつくられ、大量のヒスタミンが放出されて、バリア機能の低下したお肌にさらに外部刺激が加わることで炎症が悪化するアトピー性皮膚炎のサイクルを、プラセンタに含まれる成分が断ち切ってくれるためだといわれています。
炎症を引き起こす細胞が自滅するよう、プラセンタが働きかけているのではないかと考えられているわけです。
プラセンタに含まれる細胞増殖因子は、乾燥やステロイドの長期外用によって薄くなったアトピーの皮膚に働きかけ、皮膚の再生や新陳代謝を促します。 そして炎症で破壊されたお肌のバリア機能も改善させるといわれています。
アトピー性皮膚炎の症状のひとつとして、ひどいかゆみが挙げられますが、プラセンタによって皮膚の再生能力が促進されたり、神経の興奮を抑制されたりすると、かゆみが軽減されることがあります。
プラセンタの摂取だけでなく、プラセンタ成分を含む外用でも同様の効果が期待されます。
アトピー体質の改善と同時にお肌の悩みにも対応できるのがプラセンタ効果の幅広いところで、お悩みの方にとっては嬉しいかぎりですね。
Part1、Part2はプラセンタについての基礎知識でしたので、少しわかりにくく、ピンとこない方もいらっしゃったかもしれません。
今回は、より身近で具体的な内容になったと思っているのですが、いかがでしたでしょうか?
プラセンタの作用は多岐にわたりますが、どのような流れでどのような症状に効果が発揮されるのかを理解した上で使用することは、とても大切だと私は考えております。
どの成分にも当てはまることなのですが、ただやみくもに使用するのではなく、正確な知識を持って取り入れていただきたいと、切に願ってやみません。
このPart3では、女性の方は、特に気になるプラセンタの美肌効果について、お悩み別に解説してありますので、既にプラセンタを愛用されている方、またこれから始めてみようと考えていらっしゃる方にとって、少しでもお役に立てれば幸いです。
次回は、実際にどのようなシーンでどのようなプラセンタを使用したら良いのか、私自身のことも含めてご紹介する予定です。というわけで、Part4もご期待くださいませ。
参考文献
- プラセンタ療法と統合医療 吉田健太郎・著(たま出版)
- 体にやさしい実践プラセンタ療法 吉田健太郎+各科医師16人(東洋医学舎)
- 胎盤力 プラセンタ・パワー 吉田健太郎・著(H&I)
- プラセンタ医療の現場から 景山司・著(現代書林)
- 平成28年度版 美容薬学検定試験公式ガイド&テキスト (一ツ橋書店)
- 【医師監修】プラセンタの効果(1)美白|スキンケア大学 → ホームページはこちら
- プラセンタサプリが美肌にいい理由|シミやたるみに効く仕組みとは|プラセンタどれがいい?「見てミル」 → ホームページはこちら
- 「健康食品」の安全性・有効性情報 → ホームページはこちら
- プラセンタエキス(化粧品):Cosmetic-Info.jp → ホームページはこちら
- 【医師監修】プラセンタの効果(7)更年期障害|スキンケア大学 → ホームページはこちら
- 悩める更年期障害を和らげてくれるプラセンタ効果はどう? → ホームページはこちら
- 更年期のホットフラッシュはプラセンタで改善できる?|プラセンタ美のプラセンタ効果比較口コミ → ホームページはこちら
- プラセンタと花粉症の関係性とは?|サプリメント大学|サプリ → ホームページはこちら
- プラセンタとアトピーの関係性とは?|サプリメント大学|サプリ → ホームページはこちら
- 【医師監修】プラセンタの効果(5)アレルギー|スキンケア大学 → ホームページはこちら
- プラセンタのアレルギー(アトピー・花粉症)に対する効果-プラセンタ超入門 → ホームページはこちら
著者プロフィール
脇坂 英理子
東京女子医科大学医学部を卒業。元々は麻酔科を專門としていたが、その後一般的な内科と美容内科・美容皮膚科も経験。現在は、医療・健康・美容などの知識を活かしライターとしても活躍中。
※当記事についての免責事項はこちらをご覧ください。 → 『免責事項』のページを見る