角化が順調なら角質は溜まらない?
角化とは、肌の表面の大部分にある角化細胞が生まれてから剥がれ落ちるまでの過程を言います。この角化は肌の代謝運動であるターンオーバーのサイクルの中で起こっているものです。
新しい角化細胞(ケラチノサイト)は表皮の一番下にある基底層で生まれて、だんだんと押し上げられて行きます。そしておよそ2週間かけて一番上にある角質層にまでたどり着くと角質細胞となり、肌の表面に留まります。
さらに2週間ほどすると、角質細胞は垢となり剥がれ落ちていきます。角化細胞は角質層に押し上げられる間に分解を繰り返し、天然保湿因子(NMF)やセラミドなどの保湿成分を分泌し、肌の水分を補っているのです。
このように角化はターンオーバーと深く関係していて、ターンオーバーのリズムが崩れると角化のリズムも崩れてしまうのです。
何らかの理由でターンオーバーのリズムが狂うと、角質細胞がうまく剥がれず古くなった角質が溜まってしまいます。角質が溜まると肌がカサついたり、透明感がなくなってくすんで見えたりします。
角質が溜まるのはターンオーバーの乱れ!?
角質が溜まる原因はターンオーバーが正常に行われないためです。ではどんなことでターンオーバーは乱れてしまうのでしょうか?
乾燥による潤い不足
肌が乾燥すると肌のなめらかさがなくなりザラついたりカサついたりします。これは肌内部の水分をこれ以上逃がさないように角質が厚くなり水分の蒸発を防いでいるのです。
また、ターンオーバーを早めて新しい角質細胞をたくさん作ろうとします。ターンオーバーが早まると、肌に必要な保湿成分が十分に分泌されずに角質細胞となってしまうので、肌は更に乾燥します。
年齢によるターンオーバーの遅れ
年齢を重ねるとターンオーバーのサイクルも遅くなり、普通の洗顔だけでは古い角質が取れにくくなります。通常ならターンオーバーで排出されるメラニン色素も排出されずに肌に残り、くすみ、しみの原因となります。
紫外線によるダメージ
紫外線は肌の細胞にダメージを与えて炎症をおこします。すると肌は古い角質をため込んだり、新しい角質細胞を作って角質層を厚くし、ダメージが肌の内部まで及ばないように角質を肥大させます。
古い角質が溜まる角質肥厚とは?
乾燥や紫外線によるダメージがさらに悪化すると肌表面の角質層はどんどん厚くなり、角質肥厚になってしまいます。
角質肥厚とは、本来剥がれるはずの角質が肌に残り、通常よりも角質層があつくなる状態の事です。角質肥厚になると肌は弾力を失って固くなり、触るとゴワついたり、ザラついたりします。また古い角質がいつまでも肌に留まっているせいでくすみがちになり、肌のトーンが暗くなります。
固くなった角質を解消するには
固くなってしまった肌の角質は“とる”ケアで角質ケアをしましょう。角質ケアにはAHAやBHAなどのピーリング、スクラブ洗顔やゴマージュ、酵素洗顔があります。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
ピーリングの種類は2種類
ピーリングは、固くなってしまった角質を薬剤や科学成分で剥がしやすくする方法です。ピーリングは酸を肌に直接塗って肌表面にある古い角質を取るケミカルピーリングと、レーザーなどを使って強制的に剥がしていくものがあります。
更にケミカルピーリングはAHAとBHAの2種類に分けられますが、化粧品ではAHAなどの酸を使ったケミカルピーリングが一般的です。
レーザー治療は美容皮膚科などで行っているピーリング方法ですので、今回は酸を使って角質を剥がしやすくするケミカルピーリングをご紹介します。
酸の力で角質ケア!AHAとは
AHAとはα-Hydroxy Acid(アルファヒドロキシ酸)の略で、フルーツによく含まれている為、フルーツ酸とも呼ばれています。AHAには細胞の結合を緩める作用があって、角質同士の結合を緩めて古い角質を角質層から剥がしやすくしてくれます。
AHAによるピーリングは自然に発生した酸を利用しているので安全性が高く、効果を期待できます。ピーリングを定期的に行うことで、遅れていたターンオーバーのサイクルを促進し、くすみやニキビ跡なども徐々に改善していきます。
またコラーゲンの生成を促進する作用もあるので、ハリのある滑らかな肌が戻ってきます。AHAにはクエン酸、リンゴ酸、乳酸などがありますが、特に有名なのがグリコール酸です。
グリコール酸はサトウキビやパイナップルなどの植物から抽出する酸で、人間の肌にも微量に存在している為、アレルギー反応を起こしにくいといわれています。
他のフルーツ酸と比べても分子が小さい為、浸透性が良く皮脂を除去し毛穴を目立たせなくしてくれます。
ニキビ治療に効果的!BHA
BHAはトリクロール酢酸やサリチル酸マクロゴール、サリチル酸エタノールなどがあります。BHAの代表的な成分であるサリチル酸はもともとが強酸で、市販の化粧品では0.2%までと濃度が制限されているほどです。
しかしAHAが水溶性で肌の表面に対して作用するのに対して、BHAは油脂性で皮膚の表面と毛穴にも作用することからニキビ治療の現場で使われています。ニキビ用の化粧品に配合されていることが多く、クレアラシルやプロアクティブなどに使われています。
思春期の皮脂の分泌が活発でニキビが沢山できてしまった肌や、オイリーな肌には効果的です。ただ、AHAのようにコラーゲンの再生を促進するような効果はない為、ピーリング後は肌が乾燥しやすくなります。
BHAを使った後は特にしっかりと保湿ケアをすることが大切です。
ボティにも効果的!スクラブ
スクラブ洗顔は細い粒子を使って肌を摩擦する事で角質を落とす方法です。擦り合わせる事で古い角質を落します。最近では塩や砂糖、こんにゃくや米ぬかなど、様々な成分を使ったスクラブ商品があります。
成分によって粒子の粗さや肌触りが違いますので、自分の肌の状態に合わせた商品を選びましょう。スクラブは顔だけでなく、踵や肘などの角質が肥大した部分にも使えるボティ用商品もたくさんあります。
毛穴のつまりや黒ずみまで落としてくれるので、角栓や毛穴の黒ずみに悩む方にお薦めですが、肌が薄い方や敏感肌には刺激が強い場合があります。
またスクラブの粒子の粗さによっては肌に細かな傷を付けてしまうこがありますので、注意が必要です。特に年齢肌は肌が薄くなっているのでこんにゃくスクラブなどの肌触りの柔らかいものを選びましょう。
ゴマージュによるスキンケア
ゴマージュはフランス語で“消す、消去”という意味です。スクラブと同じ意味で使われることもありますが、スクラブが細かい粒子を擦り合わせてとるのに対し、ゴマージュは植物やハーブなどの天然成分を使って汚れを吸着させます。
液体やジェル状の物もあり、くるくるとマッサージしていくとポロポロと消しゴムのカスのような物が出てきて、汚れと一緒にとれます。天然成分を使っているので、肌に優しく安全ですが、スクラブ同様に摩擦して汚れを落とすので、こすり過ぎないように注意してください。
またスクラブ同様に細かい粒子が入っているものや、液体状、ジェル状のものと、形態は様々です。粒子入りのものは肌への負担が大きくなります。自分の肌に合わせた物を使いましょう。
酵素の力で角質を溶かす酵素洗顔
酵素洗顔は、タンパク質を分解するプロテアーゼという酵素を利用して、古い角質や、皮脂を取り除く方法です。青パパイヤやパイナップルに含まれている酵素を使ったものが有名ですね。
最近では酵素と一緒に保湿成分が配合されているものもあります。酵素洗顔の後は肌が乾燥気味になるので乾燥肌の人は保湿成分が入っているような酵素洗顔が良いでしょう。
角質肥厚はもちろん、毛穴に詰まった角栓も落とすことができますので毛穴詰まりにも効果を発揮します。角質だけでなく、角栓やコメドが気になる方にはお勧めです。
パウダー状の物が多く、通常の洗顔料のように泡立てて使います。ただ、洗浄力は強力ですので長時間肌に置いたりすると角質が取れすぎて肌が薄くなりすぎてしまいます。短時間で手早く洗い流してください。
やりすぎ注意!角質ケアの注意点
ここまで、角質ケアができる成分を紹介してきましたが、角質ケアの際の注意点もあります。
角質ケアをした後はザラつきやゴワ付きが一掃されてすべすべのお肌になります。しかし角質が今までよりも薄くなる訳ですから一時的にバリア機能が低下して、肌が乾燥しやすくなります。角質ケア後は入念に保湿ケアを行ってください。
角質ケアのせいで肌が乾燥してターンオーバーのサイクルが狂ってしまったなんてことのないようにしましょう。
角質ケアの頻度は肌質により変わります。普通肌で週1回、敏感肌や乾燥肌の方は2週間に1回で十分です。やりすぎは肌に刺激を与えて他の肌トラブルが発生する恐れもありますので注意してください。スペシャルケアとして月に1,2回するだけでも十分に効果があります。
角質ケアでスベスベ肌を手に入れよう
いかがでしょうか。滑らかで透明感のある肌は、女性のあこがれですよね。いくつになっても自分の素肌に自信を持っていたいものです。しかし一度溜まってしまった角質は通常のスキンケアではなかなか落しきれません。
定期的な角質ケアで、透明感のある柔らかな肌を手に入れましょう。角質ケアの方法はいくつかありますので、まずはトライアルセット(お試しセット)で試して自分に合った方法を探してください。
トライアルセットはリーズナブルな価格で気軽に試せるのが魅力です。自分が思っていてよりも肌が薄くて逆にトラブルを起こしてしまった、なんてことのないように、トライアルセットで試してみて、自分の肌に合う角質ケアの方法を見つけてください。