肌が乾燥するとどうなる?
乾燥肌はドライスキンとも呼ばれ、肌の水分と油分のどちらも不足した状態です。肌が乾燥するとかゆみがでたり、粉を吹いたようになったりします。ここではドライスキンによって起きる肌トラブルの原因をご紹介します。
・かゆみ
肌の表面には皮脂膜という脂性の薄い膜があり、この皮脂膜と角質層が肌のバリア機能を果たしています。皮脂膜は常在菌が住みやすい弱酸性に保たれていて、この常在菌が悪玉菌などの細菌から肌を守ってくれているのです。
しかし乾燥肌の人はこの皮脂膜が薄くなっていたり、なくなっている状態です。すると肌のバリア機能は低下して、髪の毛や服が触れただけでも刺激となり、かゆみが出てしまうことがあるのです。
・粉吹き
角質細胞の間には細胞間脂質があり、これが細胞同士を結び付けてくれています。肌が乾燥すると細胞間脂質は不足して、角質細胞の間にすき間ができます。すると角質細胞は剥がれやすくなります。この剥がれた角質細胞が粉吹きのように見えるのです。
・赤み
肌の赤みは乾燥が進行してバリア機能が低下している肌に見られます。バリア機能が低下すると通常なら何でもないことが刺激となり、炎症を起こします。炎症を起こすと血流は多くなり、これが赤みとして透けて見えるのです。
乾燥は真皮層にも影響を及ぼす!
また肌の乾燥は肌の表面、角質層だけの問題のように思えますが、乾燥が長引くと真皮層にもダメージが伝わり、しわやほうれい線の原因となります。
・シワ
真皮層にあるコラーゲンやエラスチンは肌に弾力を与えています。しかし乾燥すると分泌量が減ったり、コラーゲンが固くなり、シワの原因となってしまうのです。
・ほうれい線
肌内部にある真皮層には肌に弾力を与えるコラーゲンやエラスチン、その間に水分保持効果のあるヒアルロン酸があります。そしてこれらを生み出しているのが繊維芽細胞です。
肌が乾燥するとこの繊維芽細胞の働きが鈍り、コラーゲンやエラスチンが不足してしまいます。すると肌は弾力を失って、下に垂れ下がったようになり、ほうれい線が目立つようになるのです。
このように肌の乾燥は見た目年齢にも影響を与えます。
自分では気づきにくいインナードライとは?
自分は脂性肌だから乾燥とは無関係だと思っている方も、もしかしたらインナードライの可能性があります。インナードライとは、肌の表面は皮脂でテカっているのに肌の内側は水分量が足りずに乾燥が進んでいる状態です。
インナードライと脂性の見分け方は見た目だけで判断するのはとても難しいです。化粧品をつけたあとでもツッパリ感があったり、肌がゴワゴワしたり、毛穴が目立つ場合はインナードライの可能性があります。
インナードライに気付かないでいる方は皮脂を取るケアをしすぎていることが多く、そのために皮脂が過剰分泌されているケースも少なくありません。
・1日に何回も洗顔をしている
・強いクレンジング剤を使っている
・洗顔時にごしごし洗いをしている、熱いお湯を使っている
・不規則な生活を送っている
・SPFの高い日焼け止めや、ケミカルな化粧品を使っている
以上の項目に当てはまる人はインナードライになっている可能性が高いです。
インナードライは肌の水分量の低下が原因です。皮脂を取るケアで改善されない方は、保湿ケアに切り替えてみましょう。
水分保持力に必要なものとは?
乾燥が肌に与える悪影響はわかりました。ではどんな成分で保湿してあげればよいのでしょうか?
私たちの肌にはもともと水分を保持する、水分保持力が備わっています。角質層は角質細胞と、その間にある角質細胞間脂質から構成されていて、角質層には天然の潤い成分である天然保湿因子(NMF)や、セラミドが存在しています。
天然保湿因子(NMF)はアミノ酸や尿素、乳酸塩などから構成されていて、保湿性と吸湿性に優れています。長時間水分を保持することができる天然保湿因子(NMF)は、肌の水分維持に大きな役割を果たしているのです。
また細胞間脂質の80%を占めているセラミドは、水分を挟み込んで保持しておく作用があり、肌の水分保持には欠かせない存在です。しかし、紫外線やエアコンなどの外部からの刺激や、加齢、ホルモンバランスの乱れなど、様々な要因で減少してしまいます。
天然保湿因子(NMF)とセラミドが不足している肌は、いくら化粧水やクリームなどを塗っても肌に水分を保持しておくことができません。肌の水分保持には天然保湿因子(NMF)とセラミドが不可欠なんです。
乾燥肌には、セラミドなどの水分を保持して逃がさないようにする保湿成分が必要です。
セラミドの種類
化粧品に含まれているセラミドは原料によっていくつかの種類に分けられます。ここでは、それぞれの特徴をご紹介します。
・天然セラミド
天然セラミドは馬などの動物の脊髄から抽出したセラミドです。動物由来のため、人のセラミドと近く、保湿力に優れています。
天然セラミドには、肌のセラミドの合成を促進する効果や、バリア機能を改善する効果があります。しかし、天然セラミドは原価が高く、配合量が多いとそれだけ化粧品自体の価格も高価になってしまいます。
・ヒト型セラミド
ヒト型セラミドは酵母から生成された物で、バイオセラミドとも呼ばれています。人のセラミドと同じ構造をしているので、浸透力が高く、刺激が少ないのが特徴です。
安全性が高く、安価で生成できるのでセラミド入りの多くのセラミド入り化粧品に使われています。
・植物性セラミド
植物性セラミドはトウモロコシや大豆、などの植物を原料に作られたセラミドです。
また最近ではこんにゃくから作られたセラミドも登場しています。
・合成セラミド
合成セラミドはセラミドに似ている物質を化学的に合成したものです。大量に安定供給できるのがメリットです。価格も抑えられますが、天然型やヒト型に比べると保湿効果は劣るといわれています。
人のセラミドは11種類に分けられる
現在人の皮膚には11種類のセラミドがあるとされていて、その中の8種類の効果、働きが解明されています。
・セラミド1…水分保持作用と外部刺激から肌を守る役割があります。
・セラミド2…高い水分保持作用が期待できます
・セラミド3…水分保持作用と小じわ軽減の効果があります
・セラミド4…バリア機能の改善(皮脂膜の改善)
・セラミド5…水分保持作用とターンオーバー促進作用があります
・セラミド6…水分保持作用とターンオーバー促進、小じわ軽減効果もあります
・セラミド6Ⅱ…水分保持作用とターンオーバー促進、小じわ軽減効果もあります
・セラミド7…細胞の増殖を促進、常在菌のバランスを整える
天然セラミドはセラミド1~7全てを持っている為、高い効果が期待できます。またヒト型セラミド(バイオセラミド)は人のセラミドと同じ構造をしていることから化粧品の成分表示にもセラミドの後に番号をつけて表示することが許されています。
ヒト型セラミドは成分表記されていてわかりやすいですね。セラミド1~7のそれぞれの効果を使い分けたい時は便利です。
セラミド以外のお勧めの保湿成分
肌の水分保持力を高めるために最も効果的な保湿成分はセラミドですが、セラミドは脂溶性のため、化粧水などの水溶性の物にたくさん配合するのは難しい美容成分です。セラミドの配合率が高い化粧品を選ぶなら、クリームや美容液がお勧めです。
以下の成分は水溶性なので化粧水に配合しやすく保湿性、吸湿性に優れています。
水溶性の美容成分には
・ヒアルロン酸
・コラーゲン
・NMFに含まれるアミノ酸、尿素、ミネラル類などがあります。
ヒアルロン酸やコラーゲンは真皮層に存在する成分です。化粧品が真皮層まで直接浸透するのは難しいので、化粧品中のコラーゲンがそのまま真皮層に作用するわけではありません。
しかしこれらの美容成分は、水分を保持する力が高いので、肌の表面では保湿剤として効果を発揮します。
またヨクイニンもお勧めの成分です。ヨクイニンは漢方で処方される成分ですが、天然保湿因子(NMF)の生産を促進する作用があります。血行を促進して遅れたターンオーバーを正常に戻す効果もありますので、乾燥肌の方にピッタリです。
浸透性の良い保湿成分を選びましょう
今までいくら保湿してもすぐに乾燥してしまっていた人は肌の水分保持力が低下した状態だったんですね。
セラミド入りの化粧品で、肌の水分保持力を高めてあげてください。角質層に天然保湿因子やセラミドが十分に足りている肌は、化粧水などの水分をキャッチして肌に留めておくことができますので積極的に取り入れてみてください。
しかしいくら保湿が大切と言っても適量を守りましょう。余分な油分は酸化して肌の毛穴を詰まらせる原因になります。保湿が足りないと感じたら重ねつけするなどして、一度に大量につけ過ぎないようにしましょう。
最近ではたくさんのセラミド入り化粧品を目にしますが、天然型、ヒト型、植物性など原料によって保湿力や浸透率が異なりますので、実際にトライアルセットなどで使い心地を確かめた方が良いでしょう。
トライアルセットやお試しセットは、手頃な価格で気軽に試せるのが魅力的です。是非上手に利用して、自分の肌に合う化粧品を探してくださいね。