女性医師がヘアケアについて徹底解説!秋の抜け毛を防ぐには?

女性医師がヘアケアについて徹底解説!秋の抜け毛を防ぐには?

秋口は一年のうちで最も抜け毛が多くなる季節。

古来より「髪は女性の命」という言葉があるように、ご年齢を重ねた方も、まだお若い方でも、抜け毛が目立ったり増えてしまったりすることには抵抗があるのではないでしょうか?

これまでは主に、お肌についてのコラムを書いてきましたが、今回は目先を変えて、髪の毛の構造や仕組み、日常的なヘアケアや抜け毛対策などについてご説明したいと思います。

普段から正しい髪のお手入れをしていくことで、季節の変わり目における抜け毛を最小限に留めることができますよ。

髪の毛について

サロンや美容クリニックなどで脱毛処理をされる方が増えており、体毛については皆様ある程度ご存知かもしれませんね。

「毛髪」というように頭髪も毛なので、構造や生え方はそれほど大きく異なりません。

まずは、髪の毛の構造から見てみましょう。

髪の毛の構造

髪の毛の構造

毛孔(けあな)

髪の毛に関わらず、毛髪が生えてくる部分のことを指します。お肌(頭皮)の表面にあるため、汚れや皮脂が詰まり、トラブルの原因となることも少なくありません。

毛包(もうほう)

毛根を包み込んで、お肌(頭皮)にしっかりと毛髪(髪の毛)を固定する役割を担っています。毛包に汚れや皮脂が詰まることが抜け毛などのトラブルの原因となることがあります。

皮脂腺(ひしせん)

皮脂を分泌する部分です。

毛乳頭(もうにゅうとう)

全ての毛髪の成長を促す司令塔のような役割を持っています。毛乳頭の内部には、毛髪が育つために不可欠な栄養分を運ぶため、毛細血管が交通しています。

毛母細胞(もうぼさいぼう)

毛乳頭の周りを囲んでいる毛母細胞は、毛乳頭や毛細血管から栄養分や酸素を供給されています。毛母細胞が分裂を繰り返すことにより、毛髪が形成される仕組みになっています。

Eriko's 豆知識

ちなみに「毛髪」というのは頭髪(髪の毛)と体毛を合わせたものの総称で、毛髪の数は約120~150万本とされています。

ご自身の身体を見ていただくとお分かりになると思いますが、毛髪は手のひら、足の裏、口唇、生殖器の一部分には生えません。

髪の毛の量は成人で約10万本といわれています。

髪の毛の断面

髪の毛の断面をみてみると、3層に分かれていることがわかります。中にはヘアケア製品のCMなどでよく耳にする単語も出てきますので、みなさまにとってもおなじみかもしれませんね。

毛髪の断面

キューティクル(毛小皮)

髪の毛の最も外側にある層がキューティクルです。毛小皮あるいは毛表皮と呼ばれることもあり、ケラチンという無色透明の硬いタンパク質で構成されています。

扁平な細胞が毛先に向かってウロコのように重なり合った特徴的な構造をしており、内側(コルテックス)のタンパク質や水分が外へ逃げないようガードしながら、特有の光沢で髪の毛の美しさを作り出しています。

最も外側にあり、刺激を受けやすい部分にも関わらず、非常に薄い膜であるため摩擦や乾燥に弱いという特徴があります。

コルテックス(毛皮質)

キューティクルの内側にあり、髪の毛の大部分を占めているのがコルテックスです。線維状の細胞からできており、弾力に富んだ部分になります。

コルテックスの状態が髪の毛の太さや強さ、コシやハリ、といった毛質に直結します。

メデュラ(毛髄質)

髪の毛の中心部にある比較的柔らかい芯のような部分がメデュラです。コルテックスとは違い、線維状にはならない1つ1つの細胞が積み重なるような構造をしています。

メデュラは必ずしも全ての髪の毛に存在するわけではありません。生後1年くらいまでの乳幼児の毛、うぶ毛、白人などの細い髪の毛にはほとんどないといわれています。

Eriko's 豆知識

ちなみに、髪の毛の色を決定するメラニン色素はコルテックス内に存在しています。メラニン色素の種類と量によって、個々の髪の毛の色は変わるというわけですね。

髪の毛の成分

毛質は、髪の毛内部の構造によって変わってきますが、含まれる成分の量やバランスにも左右されます。健やかな髪の毛をキープするためにも、成分を知っておくことは大切なのではないでしょうか。

髪の毛の成分

髪の毛のほとんどはケラチンというタンパク質でできています。このケラチンにはシスチンというアミノ酸が多く含まれています。

そして、乾いている時の髪の毛にも、内部には水分が存在しているのです。お肌の保湿を左右するNMF:Natural Moisturizing Factor (天然保湿因子)が髪の毛においても一定の水分量を保つ働きをしていますが、ダメージヘアになると水分保持力が低下して、パサつきを感じたりするようになります。

髪の毛の成長:毛周期

毛周期というと、脱毛の際に美容クリニックや脱毛サロンで説明を受けたことのある方がいらっしゃるかもしれませんね。髪の毛も毛髪の1つですので、当然ながら毛周期に従って成長と脱毛を周期的に繰り返しています。

1本の髪の毛は、一定期間の成長期を終えると、細胞分裂の止まった毛根が角化し始めます。こうなると髪の毛の成長がストップし、毛根が頭皮に押し上げられ、抜け毛となります。

その後、ある程度のお休みを経て、成長期に入った新しい髪の毛が生まれてきます。それぞれの期間には個人差があるものの、この一連の流れを毛周期(ヘアサイクル)と呼んでいるわけです。

成長期初期

毛乳頭を抱え込んだ状態の毛母細胞が、分裂と増殖を繰り返して成長していきます。

成長期:5~6年

皮下組織に達した毛球内部では、毛乳頭が栄養分の取り込みを盛んに行い、毛母細胞へと供給することで、髪の毛が伸び、太くなっていきます。

退行期:2~3週

毛母細胞の分裂・増殖がストップし、毛球が収縮して頭皮近くまで押し上げられていきます。このとき、毛乳頭は毛球から離れて本来の位置に留まります。

休止期:2~3ヶ月

毛乳頭の形状は丸くなり、次の毛芽は活発になるまで待機しています。髪の毛が自然に抜け落ちるまでには2~3ヶ月かかり、この期間、髪の毛はお休みしていることになります。

Eriko's 豆知識

髪の毛は、1ヶ月につき約1cmずつ伸びていきます。

ヘアダイ、ヘアブリーチをされていらっしゃる方や定期的に美容院に通われる方であれば、なんとなくでも体感としてご理解されておられるのではないでしょうか(かくいう私も、比較的明るめのカラーリングを好むため、1ヶ月経過すると髪の根元から1cmほどが本来の髪の色になっているのでわかっていました(笑))。

また、髪の毛1本あたりの寿命は約5年といわれています。とはいえ、髪の毛は常に成長し続けているわけではありません。

髪の毛1本1本は毛周期に沿って、一定周期で発毛~脱毛のサイクルを繰り返しているわけですね。

それぞれがバラバラの毛周期で伸びてくれるおかげで、私たちの髪の毛はある程度一定の量が保たれているのだと考えてみると、人間の体はよくできているものだと改めて感心してしまいます。

基本的なヘアケア

髪の毛についての一般的な基礎知識はご理解いただけたでしょうか?ここからは、健やかな髪の毛を保つためのヘアケアについてご説明していきますね。

既に実践していらっしゃる方も少なくないと思いますので、気楽に読んでいただければと思います♪

ブラッシング

何気なく髪をとかしてはいませんか?

正しいブラッシングを行うための簡単なポイントをご紹介しますので、これだけでも押さえていただければ、かなり髪質が変わってくる…かも?!

正しいブラッシング

1:ブラッシングのタイミング

髪の毛の乱れが気になるときはもちろんですが、最もブラッシングしていただきたいのはシャンプー前です!

あらかじめ髪の毛のからみや汚れをある程度落としておくことで、シャンプーするときの切れ毛・抜け毛予防にもなりますし、泡立ちが良くなるため余分なシャンプー使用を抑えることもできます。

ブラッシングによる血行促進で頭皮の汚れも浮かしやすく、洗い流しやすくする効果も期待できますよ。

逆に、髪の毛が濡れている状態だと傷みやすくなりますので、無理なブラッシングは控えるようにしましょう。指で軽く流れを整える程度にしておくことをオススメします。

2:ブラッシングの順番・方向

ブラッシングは根元から、と頑なに思い込んではいませんか?

髪の毛の根元から毛先まで、一気にブラッシングしようとすると、もつれが毛先付近に集中してしまい、それを無理にほぐそうとすると髪の毛に大きな負担がかかってしまいます。

このような行為は、キューティクルを剥がし、枝毛や切れ毛の原因となってしまうため、ご注意くださいね。

正しくは、最初に毛先のもつれを丁寧にといておきます。次に、髪の毛の中間くらいから毛先に向かってブラッシングします。最後に、根元から毛先に向かって流れをつくるようにブラッシングしてください。

3:使用するブラシの種類

たくさんの種類の「髪の毛に良いブラシ」が販売されていますよね。

抜け毛やくせ毛を防ぐブラシ、髪の毛にツヤを出すブラシなど、個人のお悩みや目的あるいは使用するシーンによって、必要なブラシの基準は変わってくるかと思います。

また毛の材質もナイロン、豚毛、猪毛など様々な種類があり、髪質によって選択できるようになっています。ご自身の髪質や髪の毛の状態に合わせて、適切なブラシを選ぶようにしましょう。

ひとつだけ、必ず守っていただきたいことがあります。それは、髪の毛が濡れた状態のとき、目の細かいブラシは使用しない!ということ。

濡れた髪をとかすのは指だけにしておいていただきたいのですが、どうしてもブラシを使用したい場合には、どんな材質であっても、目の荒いブラシを使うように気をつけてくださいね。

正しいシャンプー&トリートメント方法

日常的に行なっていることだからこそ、積み重ねが大切になります。どんなに高価なヘアケア製品を使用していても、基本的なケア方法が間違っていては効果も半減してしまいますよ。

予備洗い

予備洗い

予備洗い(もしくは予洗い、素洗いなどともいいます)で、髪の毛や地肌を十分に濡らしておきましょう。

事前に髪の毛を湿らせておくことで、ついたホコリを落とし、シャンプーを泡立ちやすくすることができます。

髪の毛を傷めることなく、地肌をまんべんなく洗うために、予備洗いがとても重要となりますので、忘れずに行ってくださいね。

シャンプーのつけ方

シャンプーを髪の毛にそのままつけていませんか?それは決してしないようにしてください。

シャンプーを容器から手に取ってそのまま頭皮や髪の毛につけてしまうと、刺激となってしまったり、ムラづきしてしまったり、すすぎ残しが多くなってしまったりという問題が起こります。

洗顔料を顔につけるときと同様、シャンプーも手でよく泡立ててから使いましょう。

紫外線などの影響により最もダメージを受けやすくなっている頭頂部の頭皮は最後にして、シャンプーは後頭部や側頭部につけてから全体的になじませていきます。

洗髪の方法

洗髪の方法

爪を立てたり指先を使ったりせず、頭皮を指の腹でマッサージするように洗います。

汚れを落とすだけでなく、頭皮のマッサージをする感覚で、シャンプーの泡が全体に行きわたるように行いましょう。

特に、耳の後ろ~えりあし、耳の上あたりの頭周りは洗いにくく、洗い残しが多い部分ですので、しっかりと丁寧にもみほぐします。

髪の毛に関しては、泡が行きわたれば十分に汚れが落ちますので、髪の毛同士をこすり合せるようなことはしないでくださいね。

すすぎの方法

シャンプーのすすぎ残しがないように、髪の毛についた泡を軽く手で落としてから十分にすすぎを行いましょう。洗い残しの多い耳の後ろや、えりあし、耳の上あたりの頭周りや生え際は、特に入念にすすぎます。

トリートメントのつけ方

トリートメント

トリートメント適量を手に取り、頭皮を避けて毛先から髪全体になじませていきます。地肌ではなく髪の毛につける、ということがポイントですね。

しばらく髪の毛になじませたら、ある程度時間をおいてからすすぐとトリートメントの効果がより実感できると思います。

正しい髪の毛の乾かし方

濡れている髪の毛は非常にダメージを受けやすくなっています。シャンプー後の乾かし方には細心の注意を払うようにしてくださいね。

タオルドライの方法

髪の毛にタオルをあてて優しく押さえるように水気を拭き取ります。このとき、頭皮を中心にタオルドライするのが効率的です。

髪の毛同士をこすり合わせてしまうとキューティクルが傷んで剥がれやすくなってしまうため、できるだけ避けるようにしましょう。

ドライヤーの使用時間を短くするためにも、タオルドライは丁寧にしっかりと行ってください。

ドライヤーの使い方

ドライヤーグラフ

熱で水分を乾かすというよりも、風量の多いドライヤーを使用して、温風で水分を吹き飛ばすイメージで蒸発させていきます。

髪の毛の根元に指を入れて、小刻みに動かしながら、ドライヤーの風を送り込みます。

グラフにもあるように、ドライヤーの吹き出し口から髪の毛までを10cm以上の距離に保つと、髪の毛の表面温度が100℃以上になりにくいので、髪の毛を傷めるリスクが減少します。

髪の毛は乾ききった瞬間に温度が上がってしまうので、乾いてきた髪の毛には熱風を当て続けないよう、冷風を混ぜながらドライヤーをうまく使っていきましょう。

ヘアクリームの使用

髪の毛は毛包の中に生えており、毛包には皮脂腺が開口しています。つまり髪の毛は皮脂、ある種の油がつくことによって丈夫に、美しく弾力ある状態に保たれていると考えられます。

特に乳化した油は、髪の毛をより艶やかに柔らかくすることが可能であるため、ヘアクリームの使用が皮脂と同様の働きをしてくれます。いわば洗顔後の保湿、のようなものですね。

ベタつきが気になるという方以外は、髪の毛の保湿にも気を配ってみてはいかがでしょうか。

頭皮のマッサージ

頭皮のマッサージは、頭部の地肌の血液循環を良くし、髪の毛への栄養の供給を促進して、毛乳頭の働きを刺激します。

この効果によって抜け毛を防ぎ、髪の毛にとって必要な油分を補うことができます。

シャンプーの際にも頭皮のマッサージ動作が加わっているので、改めて特別必要だとは言い切れませんが、ふと気が向いたときにヘッドスパや美容院などで頭皮のマッサージを受けてみると良いかもしれませんね。

Eriko's 豆知識

ヘアケアがどうしてそんなに大切なのでしょう?それは「髪の毛は死んだ細胞」だからです。

指を切った、転んで膝を擦りむいた…そのような場合にも人間には自然治癒力・回復力があるため、ある程度までは自己回復が可能なんですね。

ところが髪の毛の場合、頭皮の中にいる毛根は生きた細胞ですが、一度毛孔から外に出た毛幹(いわゆる髪の毛)になると、死んだ細胞組織となってしまうのです(各単語について疑問の方は「髪の毛の構造」をご覧くださいませ)。

足の裏や肘・膝の角質と同じで、体内からの栄養の供給はなく、外部からのお手入れが必要となってしまいます。

ですから、髪の毛を美しく保つためには、日頃からの正しいヘアケアが欠かせないというわけなのです。

ちなみに私の場合

元々の髪の毛が超ストレート(細い、柔らかい、多い)かつ手ぐしで寝癖まで直ってしまうくらいなので、基本的にブラッシングはシャンプー前にしかしません(笑)。

ただ女性のたしなみとして小型のブラシは一応持ち歩いてはいますよ。

マイブラシ

洗髪するときのポイントやコツについては、担当の美容師さんによく聞いて勉強しています。

餅は餅屋、と言いますけれども、やはり髪の毛のことは美容師さんがよくご存知かな、と思いまして(笑)。

そんなわけで、シャンプー選びも基本的には自分に合ったものを美容師さんにお聞きしています。

少し前までは、ボトルデザインも香りもとっても素敵なミルボンの「jemile fran(ジェミールフラン)」を使っていました。

女子力アップするということで、わりと長い間愛用していましたよ。バスルームに置いておくだけでも可愛いですし、ほどよく甘い香りが持続するのでノーマルヘアの女性にはオススメです!

シャンプー01

お気に入りだったジェミールフランから泣く泣くシャンプーを変えたのは、長年繰り返したブリーチが影響して髪の毛のダメージがひどくなってきたからです…。

美容師さんのオススメで新しくマイシャンプーになったのがこちら。

シャンプー02

ミルボンの「Aujua(オージュア)」は、日本人女性1人1人に適したヘアケアで美しい髪づくりを、というコンセプトを元にしており、たくさんのラインナップがあります。

今の私の髪の状態や元々の髪質から勧められたのは“IMMURISE(イミュライズ)”というシリーズでした。

容器も美しいバラ色で(スキンケア用品やコスメ、ヘアケア用品って見た目も大切ですよね!)、香りイメージもローズ・ド・メイということで早速大好きになりました。

トリートメント01

ちなみに、タオルドライ後、ドライヤー前にはこちらのイミュライズ エクシードセラムも使用しています。同じシャンプー&トリートメントと同じ香りで嬉しい~!

次に美容院に行ったときには、これの前につけるジェルステムライザーも入荷されているらしいので、ますますラインナップが強化される予定です。

一時期は銀座駅の構内一面がオージュアの宣伝だったりして、今のシャンプーといえばオージュア!みたいな雰囲気があるようなので、気になる方はぜひ行きつけの美容院で聞いてみてくださいね。

ドライヤー前のトリートメントは昔から欠かさないアイテムでしたが、10年以上の愛用品があるのでご紹介しておきますね。

トリートメント02

LaSanaの「海藻ヘアエッセンス」は本当にオススメ!
若干お値段が張るのですが、少量でも本当にしっとりしたサラツヤ髪に仕上がります。

大きなボトルを買うとたまについてくるミニボトルは、携帯しやすいのでお出かけのときに便利です。

このエッセンスさえあれば、ホテル備え付けのどんなシャンプーを使ってもいつも通りの髪の毛になるのですごく安心なんですよ。

抜け毛について

冒頭にも書いたように「秋口の抜け毛」、つまり秋口になると抜け毛が多くなる、というようなことが昔からいわれているようです。皆様はそのような現象を実感されたことがありますか?

動物では夏毛から冬毛に変わる「毛変わり」の現象が認められますが、人間の髪の毛にはこのようなシステムは該当しません。

おそらく昔の日本女性は非常に長い黒髪だったため、数本抜けただけでも相当な量に感じられたのではないでしょうか。

また、現代では毎日シャンプーを行い、ヘアケアも十分に行える環境ですので、昔のように頭皮が蒸れたり、ケアが不十分で頭髪環境が不衛生だったりするために起こる抜け毛とは無縁だとも考えられます。

つまり「秋口の抜け毛」とは過去のものであり、現代社会では当てはまらない現象と結論づけても良いのではないかと思います。

とはいえ、せっかくここまで髪の毛についてお話してきましたので、毛髪トラブルのひとつである抜け毛について軽くご説明しますね。

抜け毛のメカニズム

何らかの原因や環境の変化により、毛周期が乱れてしまうことが抜け毛を引き起こします(毛周期について詳しくはこちらをご覧ください)。

1日に抜ける髪の毛の本数は約40~70本。

毛周期の乱れにより、成長期における髪の毛が一定期間(約5~6年)に満たない状態で成長期が止まり、退行期→休止期を経て脱毛の過程に進んでしまうのが異常な脱毛、つまり抜け毛とされます。

女性の抜け毛・薄毛の原因

男性の抜け毛の代表として、社会現象となり注目を浴びているものとしてAGA(男性型脱毛症)が挙げられます。

広告やCMなどで‘お医者さんに相談だ’という宣伝文句を目にしたり耳にしたりしたことがあるのではないでしょうか。

AGAには確かに内服薬や外用薬があり、専門のクリニックも存在します。

では女性の抜け毛や薄毛は…?こちらはAGAとは異なる原因で起こる現象ですが、近年では女性の抜け毛や薄毛も増えてきています。

特に女性の薄毛の場合、休止期が長くなることで、髪の毛が抜けても次の毛が直ぐには生えてこないため、全体的な髪の毛の本数が減少し、薄毛が目立つようになります。

また、髪の毛の太さそのものも細くなるため、一層薄く見えるようになります。

原因として挙げられるのは、加齢(女性ホルモン減少による相対的な男性ホルモンの増加も含め)、遺伝、ダイエット、ストレス、女性ホルモンの減少、冷え症や低体温、過剰な洗髪、髪の毛のからまりによる抜け毛、頭皮の緊張(頭皮が引っ張られて血液循環が停滞)などです。

抜け毛の一種である円形脱毛症の場合は、脱毛パターンも原因も異なりますのでご注意くださいね。

抜け毛を防ぐには?

原因に応じた対応がベスト、であることは間違いないでしょう。

加齢による抜け毛や薄毛は、どうしても防ぎようのない部分があり、セルフケアでは限界がありますので、専門医にご相談いただくことをオススメします。

40代まで達していないのに抜け毛が気になる方は、まず日々のヘアケアを見直すことから始めてみてくださいね。

清潔に保とうとするあまり、過度な洗髪を繰り返していると、頭皮にとって刺激となってしまうことがあります。

またダイエットやストレスは女性ホルモンの減少を引き起こし、抜け毛の原因となります。細くなりたいと思うあまりに過剰なダイエットをした結果、髪の毛が少なくツヤを失っては本当に美しいといえるのでしょうか。

現代社会においてストレスは避けて通れないものですよね。が、ストレスを受け流せる前向きな考え方、あるいは自分なりのストレス解消法を持つのがよろしいかと考えます。

冷え症や低体温は頭皮への血流を低下させ、髪の毛の成長を妨げてしまいます。飲み物や服装に気を付け、寒い季節にはしっかりと入浴して、身体を温めるようにしてくださいね。

Eriko's 豆知識

最近では、AGAの専門クリニックだけでなく、女性の頭髪トラブルに対応したクリニックも存在しています。

加齢による抜け毛や薄毛の場合、発症は40代以上が一般的といわれていますが、髪の毛が薄くなってきたのでは?とご心配な方は、一度そのようなクリニックを訪れてみるのもひとつの手段なのではないかと思います。

抜け毛・薄毛が進行していると、毛髪密度が通常220本 / cm2から160本 / cm2程度に低下し、太さも85μmから70μmくらいに細くなるといわれています。

毛髪密度や髪の毛の太さを測定することで、ご自身の髪の状態をより詳しく知ることができるのではないでしょうか。

まとめ

今年は珍しく雨の多い秋となりましたね…これも異常気象なのでしょうか。10月の終わりにはすっかり寒くなり、既に冬を感じさせる日が続いています。
季節の変わり目には寒暖の差で体調を崩される方も多いようです。

まずはご自身の健康を第一に考え、しっかりと体調を整えてから美容に取り組みたいものですね♪

今回は季節ネタとして「秋の抜け毛」に着目してヘアケアをテーマにしましたが、髪の毛が生えている頭皮もお肌の一部ですから、正しいケア、そして季節に応じたお手入れが必要ではないかと私は考えます。

また、今回取り上げたのは抜け毛のみですが、髪の毛にまつわるトラブルは他にもありますので、機会があれば(そしてリクエストをいただければ)コラムのテーマにしてみようと思っております。

季節が移り変わり、美容ケアのメインテーマが夏の紫外線対策から、冬の乾燥対策および保湿ケアになっていく過渡期。

秋はお肌にとって最も快適な時期ともいわれますが、来るべき冬に備えての準備も怠らないようにしましょう!

参考文献

  • 美容のヒフ科学 改訂9版(南山堂)著・安田利顕 改訂・漆畑修
  • 日本化粧品検定1級対策テキスト 著・小西さやか(主婦の友社)
  • 日本化粧品検定2級・3級対策テキスト 著・小西さやか(主婦の友社)
  • 一般社団法人 日本コスメティック協会 検定テキスト コスメQ&A 第2版(中央書院)
  • 一般社団法人 日本コスメティック協会 検定試験参考図書 コスメマイスター・スキンケアマイスター(メディカルレビュー社)
  • 花王株式会社 ヘアケアサイト 薄毛になるメカニズム 髪の成長とヘアサイクルホームページはこちら
  • ヘアサイクルについて – 肌トラブル研究室 − エクセレントメディカルホームページはこちら

脇坂英理子

著者プロフィール

脇坂 英理子

東京女子医科大学医学部を卒業。元々は麻酔科を專門としていたが、その後一般的な内科と美容内科・美容皮膚科も経験。現在は、医療・健康・美容などの知識を活かしライターとしても活躍中。

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