女性医師が徹底解説!プラセンタの種類や安全性について!Part2:中級知識編
今回のテーマも前回コラム に引き続き「プラセンタ」です。
プラセンタについての基本的な一般知識が得られた(あるいは復習できた)ところで、Part2ではさらに突っ込んで、プラセンタそのものについてフォーカスを当ててみましょう。
皆さまが日常的に何気なく摂取しているそのプラセンタ、本当に信頼できるものですか?
キャッチコピーや宣伝文句、アフィリエイト記事などに惑わされるのは、とても危険なことです。この記事では、正しく安全でより効果的な製品を選ぶ眼を養うお手伝いができたら、と思っております。
続くPart3、Part4ではさらに実用的な内容になっていきますので、今後もどうぞご期待くださいませ。
プラセンタには種類があるの?
胎盤は哺乳類が妊娠した際に作られる、母体と胎児を繋ぐ重要な臓器であることは前回のコラムでご説明しましたね。
ですが、一言で「胎盤」だの「プラセンタ」だのと言われても、突き詰めるところ実際の原料はなんなのか、詳しく知りたいところではないでしょうか?
注射やサプリメントなどに使用されるプラセンタエキスの原料にはいくつかの種類があるのでご紹介していきます。
プラセンタエキスの原料である胎盤は、大きく分けて、ヒト由来、豚由来、馬由来、植物由来、海洋性といった種類があります。
海外では羊由来の胎盤が原料とされることもありますが、日本では禁止されているため製品としては販売されていません。
プラセンタのように、主となる成分が化学物質ではなく、生物材料であるものを「生物製剤」と呼び、原料が製品の品質や安全性に大きく影響するので、きちんと理解することが大切ですよ。
ヒトプラセンタ
文字通り、ヒト(人間)の胎盤を原料としたプラセンタです。ヒト由来のプラセンタを原料としているのは医薬品のみになり、基本的にドラッグストアやインターネットでは購入できません。
豚プラセンタ
豚由来のプラセンタは、市販のものの中で最も多く使用されています。豚は多産なので胎盤も取れやすく、お値段も比較的お手頃なのが特徴ですね。
移植手術に豚の臓器が使用されることもあるくらいですから、豚の組織と人間の組織は似ており、定着しやすいのかもしれません。
馬プラセンタ
馬由来のプラセンタには、豚由来のプラセンタには含まれない6種類の必須アミノ酸が含まれています。また、狂牛病の恐れがないことや、馬の体温が高く寄生虫が住みつきにくいことなどから人気があります。
しかし、多産ではないため馬の胎盤は絶対数が少なく、そのプラセンタはどうしても高価なものになってしまいます。
動物由来のプラセンタは、育成環境によりアミノ酸などの有効とされる成分の含有量が左右されるといわれるため、より快適な環境で育った動物の胎盤を原料としたプラセンタエキスほど成分が安定し、豊富に含まれています。
仮に、プラセンタサプリメントを選ぶ場合、『馬と豚ではどちらがいいの?』という疑問を持たれる方もいらっしゃるかと思います。
前提として、できるだけ希望されるプラセンタ効果を実感するためには、高品質なものを摂取することが大切です。
そのため、同じ原料由来であっても、プラセンタの抽出方法や飼育環境などが重要視されるわけですね。
そこで豚由来と馬由来のプラセンタの品質はどう異なるのでしょうか。
はっきりと申し上げるのであれば、品質差のみに着目した場合、圧倒的に馬プラセンタの方が高品質である可能性が高くなります。
理由として、一般的に馬は1度の出産で1頭ですが、豚だと10頭前後と多産傾向にあります。
よって出産後の豚の胎盤は(言い方は少々悪いですが)くたびれた状態なのに対して、馬の胎盤は充分な余力を残しており品質が保たれている状態なのです。
これだけで、プラセンタの品質に大きな差が出てきてしまうのがイメージとしてお分かりになるかと思います。
そしてもう一点、プラセンタの種類別解説にもあるように、馬プラセンタには豚プラセンタには含まれない必須アミノ酸が多く含まれているということ。 必須アミノ酸は、体内では生成されない貴重な栄養素ですから、栄養価の面から見ても馬プラセンタが圧倒的に優位だと考えられるわけです。
つまり、プラセンタの品質のみを追求されるのであれば、個人的には馬プラセンタがおススメです。
しかし、高品質のプラセンタは決して安い製品ではありませんし、馬プラセンタは豚プラセンタよりも価格が高いというデメリットがあります。ご自身の目的や事情に合わせて選んでくださいね。
植物由来のプラセンタ
あまり一般的でなく、珍しいものではありますが、大豆やメロン、アロエなどの胎座(動物でいう胎盤にあたる部位)から抽出されたプラセンタエキスもあります。
海洋性プラセンタ
マリンプラセンタとも呼ばれる海洋性プラセンタは、魚の卵巣膜から成分を抽出したもので、実際にはプラセンタには該当しません。
植物由来のプラセンタと海洋性プラセンタには、動物由来のプラセンタに含まれる有効成分である成長因子が入っていません。
ですから、動物由来のプラセンタと比較すると、美容や健康に対する効果は限定的といえるでしょう。
作用においても、全体的に動物由来のプラセンタよりも弱いといわれています。原料として一般的ではないようですが、動物を原料とした場合に気になる病原体や残留ホルモンの問題が少なそうではありますよね。
サプリメントとしてプラセンタの摂取を始めた当初は、製薬会社が製造している豚プラセンタを飲んでいました。
現在は馬プラセンタに変えていますが、正直な話、実感として自覚的にはあまり効果に違いはないような気もしています…。
プラセンタの安全性について
プラセンタエキスは胎盤から抽出されているということもあり、生物由来であることから「感染の危険は?」「原料となる動物やヒトが病気だったらプラセンタにも悪影響があるのでは?」というような疑問や不安も生じてくるかと思います。
そこで、それぞれ原料別のプラセンタについて、安全性に関する説明をしていきますね。
ヒトプラセンタの安全性
ヒトプラセンタは医薬品のみに使用されており、生物製剤の中でも「特定生物由来製品」と区分されて、厚生労働省の認可を受けています。
製造の際も病原菌などあらゆる感染のリスクを考え、製薬会社は厳重な安全対策を行っています。
また、胎盤を提供してくださる妊婦さんは、結核・淋病・梅毒などの細菌、B型・C型肝炎ウィルス、エイズ、成人T細胞白血病などの感染者ではない方で、胎盤の提供に同意してくださる方に限られます。
そして、プラセンタの原料として使用されるのは日本国内の契約を結んだ特定医療機関において、正常分娩で出産した場合の胎盤のみ。
医療機関で検査を行った後、製薬会社でも細かく血液検査を行い、安全性が確認されます。
さらに医薬品としての安全性を高めるため、異なる数種類の滅菌法(消化酵素、酸、121℃の高熱など)を実施し、感染症がないことを確認した上で、初めて製品化されるという流れになっているのです。
上記のように、ヒトプラセンタは、決められた入手経路、徹底した厳格な品質管理と製造過程を経て製品となりますので、感染症のリスクは低いとされています。
ヒトプラセンタは厳しい検査をクリアしているため安全性が確立されていますが、これまでに発見されていない未知のウィルスや、従来の加工処理・滅菌法によっても死滅しない細菌やウィルスが出てくる可能性も否定しきれません。
しかし、ヒトプラセンタは今まで50年以上もの使用実績があり、大きな副作用や新たな感染症は一度も起こっていないため、極めて安全性が高いと考えられます。
動物由来のプラセンタの安全性
主としてサプリメントなどの健康食品に使用される動物由来のプラセンタは、様々な要因が品質に大きく影響します。
それは、飼育環境や胎盤を取り出す際の環境の衛生度、プラセンタエキスの抽出方法、製品の製造過程などです。
動物由来のプラセンタには、ヒトプラセンタとは異なり明確な基準がありません。しかし、メーカーごとに、医薬品用のヒトプラセンタに準じた基準が設定されており、安全性の確保に努めています。
原料となる動物は、徹底した衛生管理の下で健康な個体を選択します。採取した胎盤も、厳格な滅菌工程により感染症のリスクを減らし、製造過程で胎盤中の血液やホルモンなどが取り除かれます。
しかし医学的な報告はないのですが、理論上は、動物由来のプラセンタによる、食肉に由来する人獣共通感染症のリスクを完全には否定できません。
そのため、感染のない安全な動物から適切に採取された胎盤が使用され、衛生的に製造加工されていることが重要となるのです。
豚プラセンタの安全性
豚は国内での飼育数が非常に多いため、その環境は多種多様で、全てが衛生的と断言はできないでしょう。
また、病気予防のためのワクチン接種を受けている可能性があり、胎盤がワクチンの影響を受けていることも考慮しておくべきかもしれません。
豚プラセンタの中で特別なのが「SPF豚」で、この豚由来のプラセンタであれば高い安全性が期待できます。
SPF豚は、徹底された衛生的な環境下で無農薬飼育され、ワクチン接種も受けていません。
国産豚のうち約8%という希少な存在ですが、優良な飼育環境のおかげで過剰な滅菌処理を必要としません。そのため、多くの有効成分を残した品質と安全性の高いプラセンタが製造可能なのです。
通常の豚プラセンタよりも価格設定は高めですが、安全を追求するのであればSPF豚由来のプラセンタがオススメです。
馬プラセンタの安全性
プラセンタの原料となる馬の胎盤は、徹底管理された衛生環境下で育てられているサラブレッドのものなので、高い安全性が保証されています。
品質が高いこともあり、価格設定が高くなっていますが、効果だけでなく安全性も込みのお値段であることをご理解ください。
プラセンタによる健康被害について
結論から先に申し上げると、プラセンタは安全な成分です。ですが、世の中何事も‘絶対’ということはありません。
良いところばかりに目を向けるのではなく、少しばかり疑いの目を持って見ることも重要なのではないでしょうか?
プラセンタにも安全性の低いものは存在するの?
プラセンタそのものの安全性が低いというわけではないのですが、摂取に際してご注意いただきたい方はいらっしゃいます。
妊娠・授乳中の方、お子様のプラセンタサプリメント摂取に関しては、現時点で信頼しうる安全性についての情報・報告がないようです。
絶対に摂取してはいけないということではありませんが、安全を期するのであれば、お控えになった方がよろしいでしょう。
ただし、医薬品のヒトプラセンタ注射「メルスモン」は、乳汁分泌不全の治療薬として保険適応を受けています。
授乳中の方でも、医療機関を受診し医師の診断を受けた上で、ヒトプラセンタを使用することは問題ありません。
どうして牛由来のプラセンタはないの?
プラセンタの種類の項目をお読みになっていて、「あれ?豚や馬があるのに、どうして牛由来のプラセンタはないの?」と思われた方はいらっしゃいませんか?
理由を既にご存知の方は別として、その点に気付いたあなた、とても鋭いです!豚や馬と同様、いや、もしくはそれ以上に牛は私たちの生活に密着しているものです。
牧場でもよく見かけますし、乳搾り体験をされたことのある方も多いのではないでしょうか。
以前は、牛由来のプラセンタも実際に使用されていました。ところが、とある問題の影響を受け、その安全性が確立できないと判断され、厚生労働省によって全面的に牛由来のプラセンタは禁止されたのです。
それは、BSE(牛海綿状脳症、狂牛病)。牛肉を購入したり、外食で摂取する際にも大きな問題となっていましたよね。
2000年に厚生労働省から、反芻動物(牛や羊など胃が3、4つに分かれていて食物を反芻する動物)の胎盤は安全性が懸念されるため原料にしてはいけない、と通告され、現在国内では一切使用されていません。
BSEやクロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)は、プリオンというタンパク質の異常により起こる病気ですが、感染した牛の特定部位を経口摂取することで感染するとされているため、消費者の安全性を重視した対策がとられたのですね。
プラセンタによる健康被害はあるの?
心身の健康と美容に効果的とされ広く親しまれているプラセンタですが、独立行政法人の国立健康・栄養研究所の“「健康食品」の安全性・有効性情報”によれば、5つの被害事例の報告があります(該当団体のホームページ『独立行政法人 国立健康・栄養研究所 「健康食品」の安全性・有効性情報』でどなたでも閲覧することが可能です)。
いずれも医学学会で症例報告されているものですので、症例の内容と私自身の考察(のような解説)を、このコラムでご紹介しておきたいと思います。
実例1:成人型アトピー性皮膚炎の増悪
小児喘息とアトピー性皮膚炎の既往歴がある22歳の日本人男性が、詳細不明のプラセンタエキス含有製品を摂取したところ、掻痒性皮疹が出現しました。プラセンタエキスが原因であるかどうか、スクラッチパッチテストと内服誘発試験2つの検査結果が陽性であったため、摂取したプラセンタエキスを含む健康食品により増悪した成人型アトピー性皮膚炎と診断された、という症例です。
この症例では、喘息とアトピーというアレルギー体質がベースにありました。プラセンタには抗アレルギー作用があるため、アレルギーを緩和・改善する効果が期待されています。
しかしこの場合では、詳細不明のプラセンタ含有製品を摂取して掻痒性皮疹(かゆいポツポツ)が出現してしまいました。2つの検査で陽性が出たということは、この症状の原因はプラセンタであったことを示しています。
プラセンタの摂取により、本来のアレルギー体質が再発あるいは悪化してしまう可能性もあるわけですね。
その機序は明らかにされていませんが、非常に稀なケースだと考えられます。詳細不明のプラセンタエキス含有製品には気を付けよう、という警告だとも受けとめられます。
実例2:薬剤性肝障害
常用薬としてビタミンC,E、ホルモン剤 (メサルモン-F錠) 、にきび治療としてミノマイシンを連日服用していた41歳の日本人女性が、月2回、約4ヶ月間のプラセンタ注射を受けたところ、発熱、全身倦怠感、食欲不振が持続し、市販薬でも改善がみられず、黄疸も出現したため医療機関を受診し入院となりました。リンパ球刺激試験でプラセンタのみが陽性であったため、プラセンタによるアレルギー反応が原因と考えられる薬剤性肝障害と診断されました。
お薬のちょっとした解説として。
メサルモン-F錠は様々なホルモンを複合させたもので、ホルモンバランスを整えることでホルモン不足やバランスの乱れから起こる症状を治療する薬剤です。
ミノマイシンはテトラサイクリン系に分類される抗生物質で、皮膚科以外でも広い分野で感染症の治療に使用されています。
この症例では、他の薬剤も内服していたものの、検査ではプラセンタのみが陽性となっていることから、肝障害を引き起こしたのがプラセンタであることは間違いありません。
注射方法の詳細が不明なので何とも言えませんが、製薬会社による添付文書では、プラセンタ注射は本来皮下もしくは筋肉注射で行われることが推奨されています。
医薬品のヒトプラセンタ製剤を使用している場合でも、静脈注射や点滴での適応はありませんので、ご注意くださいね。
実例3:接触性皮膚炎
41歳の日本人女性が、プラセンタエキスを1日に20mgを2回、10日間摂取したところ、眼瞼に紅斑が出現しました。その後、プラセンタエキスの摂取量を1日あたり40mg×2回に増量し、併せてプラセンタエキスを含む美容液を外用したところ、全身の紅斑と下腿の浮腫が出現しました。5ヶ月後に摂取および外用を中止したところ、症状は軽快しました。パッチテストを行いプラセンタエキスが陽性であったため、プラセンタエキスによる接触皮膚炎と診断されました。
パッチテストとは、ある特定の成分に対して、かゆみやかぶれ、ピリピリとした刺激などを起こす体質であるかを見極める簡易的なアレルギー検査です。薬剤だけでなくヘアカラーリング剤などでも行う場合がありますよね。
この症例では、パッチテストでプラセンタが陽性であることから、元々プラセンタに対するアレルギー体質であったことがわかります。摂取と外用の中止により症状が軽快したことも、それを裏付けるものですね。
サプリメントを摂取する前にパッチテストは行えませんが、プラセンタエキスを含む化粧品などを外用する場合には、必ずパッチテストを行い様子を見てから使用した方が良さそうですね(プラセンタサプリメントの摂取で何の異常も起こらない方は大丈夫である可能性が高いと考えられますが、念のため。)
プラセンタによる健康被害の事例では、化粧品の使用による肌トラブルが最も多く認められているため、アレルギー体質の方のプラセンタ外用は特に注意が必要かもしれません。
実例4:全身性斑状強皮症
70歳の日本人女性が、3年間アンチエイジングを目的として、摂取量など詳細不明のプラセンタエキスの経口摂取と週1回の皮下注射を行っていたところ、2年10ヶ月が経過した頃から両下腿に皮膚硬化が生じ、それが腹部、胸部、腰部、上肢まで拡大しました。皮下注射を行っていた部位には皮膚硬化は見られませんでしたが、プラセンタエキスの摂取と注射を中止し、薬物治療により回復したため、プラセンタエキスの関与が疑われる全身性斑状強皮症と診断されました。
全身性斑状強皮症というのは耳慣れない病名かもしれませんね。簡単にいうと、強皮症とは皮膚が硬くなってしまう病気です。
大きく全身性と限局性に分けられており、全身性強皮症は様々な内臓の病変を伴うものとされています。
治療に使用された薬物治療とはおそらくステロイドと推測され、薬物治療のみで回復したのであれば、強皮症としてはそれほど重症ではなかったのではないかと考えられます。
強皮症の原因は明らかになっておらず、免疫的機序や遺伝的要因、環境因子などの関与が考えられています。
推察の域を出ませんが、プラセンタに含まれる繊維細胞増殖因子の異常な亢進により引き起こされた可能性もあります。
この症例のように、摂取直後のアレルギー反応だけではなく、ある程度の年月を経ないとわからないこともあるということです。
実例5:薬剤性好酸球性肺炎
52歳の日本人女性が、健康増進目的で2年間、豚由来のプラセンタ抽出液含有サプリメントを摂取していたところ (摂取量は不明) 、1ヶ月間にわたる湿性咳嗽、微熱が継続したため医療機関を受診しました。抗生物質のクラリスロマイシンと解熱鎮痛剤を服用しましたが改善が認められず、1ヶ月後の検査では肺に炎症が認められました。薬剤リンパ球刺激試験 (DLST) の結果、プラセンタが陽性を示したため、プラセンタによる薬剤性好酸球性肺炎と診断され、製品の摂取中止により回復しました。
薬剤性好酸球性肺炎という病気は症例数が少なく、起こしやすい患者さまの体質やリスク要因などがよくわかっていません。
抗不整脈薬や降圧剤、抗がん剤、抗てんかん薬などが原因で発症したという報告がありますが、それ以外にも様々な薬剤が原因となる可能性があります。
一般的には早期に発見し、原因と思われる薬剤をすぐに中止して、ステロイドを使用することで軽快します。
サプリメントは医薬品ではなく健康食品ですから、薬剤性疾患の原因となるのは非常に稀なケースであり、この症例はかなり特殊なものと考えられます。
プラセンタは安全な成分です!
大前提として認識していただきたいのは、医療用医薬品としてのヒトプラセンタと、健康食品であるプラセンタサプリメントは別の物、ということです。
屁理屈に聞こえるかもしれませんが、副作用というものは医薬品のみに該当する言葉であるため、サプリメントによる健康被害は副作用とは定義されません。
市販の健康食品であるプラセンタサプリメントで主に使用されているのは、豚もしくは馬由来のプラセンタで、国の定めた安全基準というものはなく、飼育環境の衛生度や製品の品質は各メーカーの自主性に任されているのが実情です。
しかし、義務ではないものの、基本的に医薬品に使用されるヒトプラセンタに準じて製造されています。
誠意と誇りあるメーカーであれば、非常に厳しい自社基準を設定し、徹底した感染症などの検査を行い、高い品質・安全性を保つような努力を怠ってはいないはずです。
よって、プラセンタは非常に安全性の高い成分で、プラセンタサプリメントも安全性の高い健康食品だと考えることができます。
トレーサビリティという言葉をご存知ですか?
栽培・飼育から加工・製造・流通などの過程を明確にする仕組みのことです。v
また、そのシステムを公開している製品もあります。
このトレーサビリティが徹底されているメーカーや製品は、安全性や信頼性が高いと考えることができますので、ひとつの目安にしてみてください。
前回よりもさらに『プラセンタとは?』という内容に重点を置いたコラムとなりましたが、疑問点やご不明な点はございませんでしたか? このコラムの内容を理解していただければ、あなたもプラセンタ中級者です!
非常に数多くの製品が出回り、たくさんの方々が使用しているからといって、それが必ずしも正解かつ安全なものとは限らない、ということをお伝えしたいと思いました。
私自身、プラセンタ愛用者であり、肯定派ではありますが、世間の評判や流れに乗っているだけでは危険ですよ!ということを訴えたかったのです。
Part1、Part2までは、プラセンタを正しく活用していただくための基礎・一般知識として若干堅苦しく難解な内容だったかもしれませんね…。申し訳ございません。
次回Part3は、より身近で切実な、美肌を含めたプラセンタの美容効果についてご説明する予定です。
引き続きプラセンタシリーズにお付き合いくださいませ。
出典元
- 独立行政法人 国立健康・栄養研究所ホームページ「健康食品」の安全性・有効性情報(健康被害の実例部分のみ) → ホームページはこちら
参考文献
- 厚生労働省 健康食品資料
- 厚生労働省告示第二百十号○生物由来原料基準(平成十五年五月二十日)
- プラセンタ療法と統合医療-プラセンタ療法実践15年と今後の展望- (吉田クリニック院長 吉田健太郎M.D.)
- JBP Placental Extract (Human)の安全性(株式会社日本生物製剤社内資料)
- ラエンネック添付文書(株式会社日本生物製剤)
- メルスモン添付文書(メルスモン製薬株式会社)
- プラセンタ療法と統合医療 吉田健太郎・著(たま出版)
- 体にやさしい実践プラセンタ療法 吉田健太郎+各科医師16人(東洋医学舎)
- 胎盤力 プラセンタ・パワー 吉田健太郎・著(H&I)
- プラセンタ医療の現場から 景山司・著(現代書林)
- 「健康食品」のホームページ |厚生労働省 → ホームページはこちら
- 「健康食品」の安全性・有効性情報 → ホームページはこちら
- ウシ等由来成分を原料として製造される医薬品、医療用具等の品質及び安全性確保の強化に係る承認申請等の取扱いについて → ホームページはこちら
- 牛海綿状脳症(BSE)等に関するQ&A|厚生労働省 → ホームページはこちら
- 【医師監修】プラセンタは危険?安全性や副作用について | スキンケア大学 → ホームページはこちら
- プラセンタ美肌効果のウソ、化粧水で健康被害も~女性誌の美容情報はウソばかり? – ライブドアニュース → ホームページはこちら
著者プロフィール
脇坂 英理子
東京女子医科大学医学部を卒業。元々は麻酔科を專門としていたが、その後一般的な内科と美容内科・美容皮膚科も経験。現在は、医療・健康・美容などの知識を活かしライターとしても活躍中。
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