女性医師が教える美白サプリの真実 Part.2 実践編:薬とサプリはどう違うの?

美白サプリシリーズ基礎編のPart1では、シミのできるメカニズムや、美白サプリのシミ改善効果、有効な美白成分についてご説明しました。

Part2の今回は、実際に美白サプリを摂取する際のポイントやコツ、注意点などを解説する実践編です。

また、皆さまが疑問に思われるであろう、処方薬と医薬品、市販サプリの違いについてもわかりやすくご説明していきます。

Part1とPart2の内容が、あなたの適切な美白サプリ選びと効率的な摂取のお役に立てますように。

薬とサプリの違いってなんでしょう?

簡潔に申し上げますと、法律で定められている分類上の違いです。薬は病気を予防・治療するもの、サプリは健康食品、という扱いになります。それぞれの定義を少し詳しくご説明しましょう。

医薬品(薬)って?

薬(いわゆる医薬品)は、何かしらの病気や症状を予防あるいは改善・治療する目的で、日本薬局方に収められているもの、と定義されています。

“医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律”(略称:医療品医療機器等法)により、医薬部外品や化粧品との違いが明確にされています。

このやたら長くて覚えにくい名前の法律は、以前は”薬事法”と呼ばれていたもので、現在では”薬機法”という通称で用いられることもあります。

医薬品=病院で処方してもらう薬、というイメージが強いかもしれませんが、医薬品にもいくつかの分類があり、手軽にドラッグストアや通販で入手できるものもあります。

美白サプリの中には、医薬品として認められているものもありますね。

医薬品の分類

ユーザーとして美白サプリを使用する場合には、厳密に憶える必要はありませが、知っておくとちょっとしたときに役に立ちますよ(笑)。

概念としてだいたいのイメージを把握できていれば充分だと思います。

医療用医薬品

医薬用医薬品は、医師もしくは歯科医師による使用またはこれらの者の処方せんもしくは指示による使用を目的として供給される医薬品、と定義されています。

つまり、病院やクリニックへ行き、診察を受けて処方してもらう薬のことですね。

医療業界では処方せん医薬品(POM:prescription only medicine)、医家向け医薬品などと呼ばれることもありますが、一般の方が”薬”と聞いてまず連想するのが、この医療用医薬品なのではないかと思います。

専門家の診察と説明を必要としますので、作用が強く効果が期待される一方で、副作用が起こるリスクも高い医薬品といえます。

本来、狭義の意味での医薬品は約90%が医療用医薬品となりますので、医薬品=医療用医薬品という認識があってもおかしくはありません。

病気で身体の具合がとても悪いとき、とにかくその症状を改善することが一番の目的になるわけですから、副作用云々よりもまず効き目を重視して医療用医薬品を選択する方も多いのではないでしょうか。

しかし、健康の維持や美容目的で内服する場合、効き目の強さよりも安全性の方が気になりますよね。それに、薬をもらうためにいちいち受診する手間がもったいないという考えもあります(私も同感です)。

そこで、一般用医薬品が重用されるというわけです。

ちなみに私の場合

いわゆる美白に効果が期待される医療用医薬品としては、トラネキサム酸やビタミンC製剤(ハイシー®、シナール®など)、グルタチオン(タチオン®)などが挙げられます。

グルタチオンは、保険適応上の問題で内服薬を処方してもらうのは少し難しいのですが、トラネキサム酸と各種ビタミン剤はクリニックで処方してもらったものを持っています。

常用しているというよりは、そのときのお肌の調子によって飲んだり飲まなかったりしています。

美肌・美白目的のためには常用した方がいいのかもしれないのですが…サプリメインにしてしまっていますね(笑)

話の通じる優しいかかりつけの先生がいらっしゃるので、ほしいときいつでも処方してもらえるのが本当にありがたいです。

トラネキサム酸

ビタミンには水溶性と脂溶性の2タイプがあり、脂溶性ビタミンは過剰摂取により副作用が出現するリスクがあるので、自己判断で服用される場合には充分お気を付けくださいませ。

ビタミンCは摂りすぎても余計な分は尿から排出されてしまうので問題ありませんよ。

ビタミン

ちなみに、シナール®は上記の通りビタミンC、アリナミンF®はビタミンB1、ユベラ®はビタミンE(抗酸化作用)、ビタメジン®は混合ビタミンB群(B1、B6、B12)です。

Eriko's 豆知識

「医者だから自分で好きなだけ薬を処方できるのでは?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

ところが!
医師は自分に対して自分の名前で処方せんを発行することはできないのです…。ですから、ちゃんと病院へ行って処方してもらっていますよ。

医療用医薬品は、その薬ごとに保険が適応される病気や症状が決まっています。そのため、トラネキサム酸が美白有効成分だからといって、シミで皮膚科を受診しても、保険を適用して処方してもらうことは基本的にはできません。

ただ、裏ワザはあります。

トラネキサム酸は、扁桃炎や咽頭炎、口内炎などの炎症症状、アレルギー症状に対しては保険適応があるので、美白目当てでトラネキサム酸がほしい場合でも、空気の読める優しい先生ですと、病名をつけて保険診療内で処方してくれることがありますよ。

口内炎ができやすい方、何らかのアレルギー症状がある方(現代社会において、全く何のアレルギーもないという方は少ないのではないでしょうか?)は、「トラネキサム酸がほしいのですが!」と率直に言ってみるのもアリだと思います。

診断して病名をつけ、保険適応かどうかを判断するのは、そのドクターの裁量ですので、必ず処方してもらえるかはわかりませんが…(笑)

一般用医薬品

いわゆるOTC医薬品、市販薬、大衆薬などと呼ばれる医薬品のことです。OTCは「Over The Counter」の略で、カウンター越しに対面で医薬品を販売・購入することから、このように呼ばれています。

つまり、病院の受診や医師の処方箋が必要なく、薬局やドラッグストアで直接購入できる医薬品、ということですね。

当然ながら健康保険は適用されませんが、自己判断で購入・使用でき、通常は安全性が確保できる成分が配合されているものになります。

従来は医療用医薬品だった薬が、安全性の高さが認められ、一般用医薬品になるというケースもあります。

そして一般用医薬品は、リスクの高さ、ユーザーへの情報提供の必要性などにより、3つに分類されています。

分類リスク(副作用)情報提供対応する販売者主な医薬品
第1類医薬品特に高い適正な使用のため、書面を使用し、必要な情報提供を行う(義務)。薬剤師元々医療用医薬品だったもの(ガスターなど)、一部の発毛剤(リアップ)など
第2類医薬品比較的高い適正な使用のため、書面を使用し、必要な情報提供に努める(努力義務)。薬剤師もしくは登録販売者風邪薬、解熱剤、鎮痛薬、一部のプラセンタ製剤など
第3類医薬品比較的低い法的な規定なしビタミン剤、乳酸菌、美白サプリなど

第1種医薬品はドラッグストアなどで薬剤師の方から説明を受けて購入する必要がありますが、第2種・第3種医薬品は対面販売の義務がないため、ネットやコンビニで購入することが可能です。

2007年の法改正によって、健康だけでなく美容の分野においても多くのサプリがネット販売されるようになり、有効成分を含んだ医薬品がより簡単に購入できるようになったというわけなのです。

医師や薬剤師の説明がなく医薬品が容易に入手できるようになったことは、私たちの生活に利便性と快適性をもたらしてくれました。

その反面、本当に有効であるか、効果が期待できる医薬品であるかを見極める能力がユーザー側に求められているのではないかと考えます。

ちなみに私の場合

医療用医薬品でもなくサプリでもない、美白のための一般用医薬品…気になる!と思いました。

前回の記事で、「試してみようか考え中」と書いたロスミンローヤル。初回お試し1900円で買ってしまいました(笑)。

まだ飲み始めたばかりなので、効果を実感するまでは時間がかかりそうですが、小粒で飲みやすく、1日3回食後なので、忘れずに飲み続けてみようと思っています。

ロスミンローヤル

サプリメントって?

サプリメントは、医薬品や医薬部外品とは異なり、明確な定義がありません。一般的には食品、その中でも健康食品に分類されていることが多いようです。

健康食品は、広く健康の保持増進に資する食品全般、サプリメントは特定の成分が凝縮された錠剤やカプセル状の製品、に該当すると考えられています。

しかし、きちんと定義されていないため、認識は個人によって違うかもしれませんね。

医薬品と薬品の違い

アメリカやヨーロッパにおいては、サプリメントの定義は「従来の食品や医薬品とは異なる分類の食品で、ビタミン、ミネラル、アミノ酸、ハーブなどの成分を含み、通常の食品と紛らわしくない形状(錠剤やカプセル等)のもの」とされていますが、みなさまの認識と相違はないでしょうか?

食品の中にもいくつかの分類があるのですが、安全性や有効性に関する基準をクリアした特定保健用食品(トクホ)などの保健機能食品とは異なり、法律上、健康食品やサプリメントは効果・機能を表示することができません。

「○○でお悩みの方に!」といった表記はキャッチフレーズであり、その症状を改善する保証はないということにご注意ください。

また、添加物を含む製品全体の「内容量」が多いと、一見効果がありそうに感じられますが、目的とする成分の純粋な「内容物」が少ないと、結果として「成分量」は少ないということになります。製品の内容量に対して、有効と思われる成分の含有率が低いということですね。

法的な規定や基準が設けられていないため、コストパフォーマンスが良いか悪いか、本当に高品質の製品であるかどうかを、きちんと表示を確認してご自身で見極めるようにしましょう。

ただ、サプリメントは医療用医薬品のように受診が必要だったり、一般用医薬品(第1種医薬品)のように対面販売でないと購入できなかったりという制限がなく、気軽に入手できる点がメリットですね。

手間やコストの面から比較的継続しやすいことや、医薬品と比べて効果の実感が緩やかであっても副作用のリスクが少ないことも、サプリメントを選択するポイントになるのではないでしょうか。

Eriko's 豆知識

効果・効能を明記できないため、サプリメントは医薬品よりも効き目がなさそう、という漠然としたイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうとは限りません。

サプリメントでも高い効果が期待できるものがたくさんあります。
実際に高品質なサプリメントと一般用医薬品の成分を比較してみた場合、大きな違いがないというケースも多く認められます。

成分が変わらないのであれば、なぜ医薬品にしないのか、と疑問に思いませんか?それにはいくつかの現実的な理由があります。

医薬品としての認可を受け、製造販売するためには、厚生労働大臣の承認が必要となります。そして、その過程において数千万~数億円という莫大な費用がかかってしまいます。

つまり、製品を医薬品として販売するためには、大きな手間と長い時間、そして高いコストがかかってしまうというわけです。

製造会社が負担しているそのコストは、製品に上乗せされるため、高品質のものを安く提供することは難しくなってしまいます。

医薬品としての認可を受けると、成分やそれらの含有量、製造方法などが厳格に規定され、世の中のニーズや技術の進歩に合わせて製品をアップグレードすることができない、という理由もあるのではないかと考えられます。

ちなみに私の場合

美白や美肌に効果的とされる成分ごとのサプリメントは摂取していますが、いわゆる”美白サプリ”は試したことがありません。

総合的かつ合理的な成分配合の高品質な美白サプリ探しをしてみるのも楽しそうですね。

美白サプリの摂取方法

実際に美白サプリを摂取する際に、押さえておきたいポイントをいくつかご紹介していきます。

適切な飲み方はあるの?

一般用医薬品であれば、製品に用法・用量が記載されているはずですので、その通りに服用しましょう。

美白サプリはあくまでも食品としての扱いですので、メーカー側から用法・用量を指定することはできません。

しかし、はっきりと記載されていなくても、製品そのものやサイトにはオススメの飲み方などが提案されていることもあります。その場合には、メーカーが提案する方法で服用してみることをおすすめします。

美白効果を期待する場合、お肌のターンオーバー周期を考慮して、最短でも1ヶ月は服用を継続しないと効果を実感しにくいと思います。

サプリメントだとさらに効果が緩やかなため、3ヶ月以上の継続した摂取が推奨されています。

飲むタイミングについて

用法が明記されている製品であれば、その通りに服用してみてください。基本

的に、サプリメントは食後に水で服用するのが良いとされています。食事の内容物とともに緩やかに吸収され、総合的な吸収率が上がるからです。

成分によってベストな摂取のタイミングが少しだけ異なりますので、美白サプリに含まれる代表的な成分についてご紹介します。

水溶性ビタミン(ビタミンB、ビタミンCなど)

食後の服用で問題ありませんが、水に溶けるビタミンなので、油ものを食べた後であれば2時間はあけた方が良いです。

また、一度にたくさん飲むのではなく、3~4時間の間隔をあけ数回に分けて摂取した方が効果的です。

脂溶性ビタミン(ビタミンA、β-カロテン、ビタミンD、ビタミンEなど)

食事中もしくは食後30分以内に摂取するのがおすすめです。

L-システイン

空腹時以外であれば、いつ飲んでも大丈夫です。通常は食後の摂取が推奨されています。

注意点は?

摂取しすぎないこと

各成分には1日あたりの摂取目安量が定められており(決まっていない成分もありますが)、日本の製品であれば多くがその基準に沿った成分配合になっていると考えられます。

しかし、海外のサプリメントは基準が異なるため、成分含有量が非常に多いことがあります。ですから、毎日飲み続けると過剰摂取となる可能性も否定できないので、注意してくださいね。

尿から排泄されない脂溶性ビタミンに関しても、食事内容からの摂取量も考慮して、過剰摂取にならないよう気を付けましょう。

水で飲むこと(※ただし水道水以外!)

薬やサプリは水で飲むのが基本だということはみなさまご存知かと思います。

しかし、水道水の中に含まれている消毒用の塩素はビタミンを破壊してしまう可能性がありますので、塩素除去された水(浄水器などを使用)やミネラルウオーターで飲むことをおすすめします。

美白サプリの場合にはあまり関係がないかもしれませんが、お茶やコーヒー、紅茶などに含まれるタンニンは鉄分の吸収を低下させてしまいます。

またサプリを飲むときだけでなく、食後すぐにそれらの飲み物を摂取すると、食事に含まれる鉄分の吸収率が悪くなってしまうことを憶えておいてくださいね。

副作用のリスクは?

美白成分はメラニンの生成を抑制する作用があるため、シミなど色素沈着している部分以外にも影響を及ぼすことがあります。

具体的には、髪の毛のメラニン色素にも働きかけて白髪が生える、もしくは増えるといった可能性が考えられます。

また、メラニンはシミの原因として悪者扱いばかりされていますが、お肌を紫外線から守るという役割があります。

そのため、メラニンの生成を抑えることで、紫外線に対してお肌が弱くなり、ダメージをダイレクトに受けてしまうことも充分に考えられます。

美白サプリを服用しているときには、いつも以上に紫外線対策を万全にしてくださいね。

まとめ

実践編といいながらも、前半は医薬品とサプリについての説明で退屈されなかったでしょうか?

心配です…。

原理や理論、定義などは、読んだり憶えたりすることが面倒くさくて避けてしまいがちな部分ではあることは、私も同感です。

しかし、これほどまでに多くの美容に関する情報や製品が溢れている今、ユーザー様がご自身を守り、損をしないで快適な生活を送るためには、どうしても知っておいていただきたい知識があるということをご理解いただけたら…そう思います。

私は医師ですが、同時に美容に関して興味がある一個人でもあります。

この連載を通じて、医学的根拠をお示ししながら、美容に関する有益な情報をわかりやすく発信していきたいと考えております。

「色白は七難隠す」といわれますが、世界の歴史を紐解くと古くは楊貴妃の時代から白い肌が流行していたそうです。

日本でも、平安時代には既に水銀や鉛から白粉をつくり、お肌を白く見せていたといわれています。

数千年を経た現代においても女性が美白を気にするということは、やはり白く輝く美しいお肌は女性にとって永遠の憧れであることを意味しているのでしょうか。

美白効果が期待される医薬品や美白サプリにも様々な種類があります。値段やキャッチフレーズに惑わされず、ご自身に必要な成分を見極めて適切な製品を選んでくださいね。

私はとりあえずお試し購入したロスミンローヤルを1ヶ月続けてみます(笑)
あまりたくさんの種類のサプリを飲んでしまうと、どの製品が自分に合っているのか、どの成分で効果を実感したのかがわからなくなってしまいますので、くれぐれもご注意ください!

前回と今回はサプリについて書かせていただきましたが、「美白」には様々な要因が関わってきます。

それらのテーマについても今後書いていく予定ですので、ご期待くださいませ。

参考文献

  • 美容薬学検定試験公式ガイド&テキスト (一ツ橋書店)
  • 日本化粧品検定1級対策テキスト 著・小西さやか(主婦の友社)
  • 日本化粧品検定2級・3級対策テキスト 著・小西さやか(主婦の友社)
  • 化粧品成分ガイド第6版 編著・宇山侊男 他(フレグランスジャーナル社)
  • アンチエイジング医学の基礎と臨床 改訂2版 (メジカルビュー社)
  • 今日の治療薬2016 編・浦部晶夫 他(南江堂)
  • 一般社団法人全国健康増進協議会資料
  • 「健康食品」のホームページ|厚生労働省ホームページはこちら
  • 医薬品・医療機器 |厚生労働省ホームページはこちら
  • 厚生労働省:医療用医薬品と一般用医薬品の比較についてホームページはこちら
  • 薬事法等の一部を改正する法律について|厚生労働省ホームページはこちら
  • 「健康食品」の安全性・有効性情報 [独立行政法人 国立健康・栄養研究所]→ ホームページはこちら

脇坂英理子

著者プロフィール

脇坂 英理子

東京女子医科大学医学部を卒業。元々は麻酔科を專門としていたが、その後一般的な内科と美容内科・美容皮膚科も経験。現在は、医療・健康・美容などの知識を活かしライターとしても活躍中。

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